ヨーロッパの新たなAI関係法令とその影響

公共の場での顔認識など、一部の用途におけるAIの活用を禁止することに焦点を当てた欧州の新しいAI関係法令が、ヨーロッパの業界全体に影響を与える可能性があります。

AIは今や防犯分野や健康分野をはじめとする様々な業界で導入されており、日々その重要性を高めています。このような状況下で、この新しいAI関係法令は各産業に対してどのような影響を与えるのでしょうか。

*AIについて詳しく知りたい方は、↓の参考記事をご参照ください。

ヨーロッパの新しいAI関係法令

EUは今年初めから、新しいAI関係法令についてさまざまな企業や組織から何百ものフィードバックを得てきました。そして、EC(欧州委員会)は8月に正式に協議期間を終了し、現在は欧州議会でのさらなる議論に向けて準備を進めています。

新法では、教育や雇用に関する決定など「ハイリスク」と考えられるAIシステムに対する規制や審査に焦点を置くと同時に、一部の用途におけるAIの使用を禁止する可能性があります。また、「ハイリスク」とされるソフトウェア製品をもつ企業は、市場に参入するために、 Conformité Européenneバッジ を取得する必要があると言われています。

業界に対する影響

例えば医療業界においては、アルゴリズムによって実施された治療や診断に対して患者が疑いをもっていたり、その結論がどのように導き出されたのかを患者が理解できなかったりすると、AIの活用は効果的ではなくなってしまいます。このような事態に備えて、新法は、信頼を構築するための基準を定めようとしています。

上記のような新法の基準を遵守したAIサービスを構築すればユーザーの信頼を獲得することができると考えられますが、そのためのコンプライアンスコストは45万2,000ドルにも上ると言われています。また、規制がヨーロッパほど厳しくないアメリカに多くのAI人材が集まることで、欧州のイノベーションが阻害される可能性も考えられます。