AIをベースとしたInsurtech企業の台頭

CCC Intelligent Solutionsの登場

2021年現在、さまざまな分野において、AIを活用する企業が増加しつつあります。こと保険業界に注目すると、多くの企業が保険の世界にAIを導入し、ローンの承認などに活用しています。代表的なInsurtech企業としてはLemonadeが挙げられますが、実は他にも注目すべき企業があります。その企業とは、2021年8月にニューヨーク証券取引所への上場を果たした CCC Intelligent Solutions(以下、CCC)です。CCC は、AIを活用することで、莫大なマーケットシェアを獲得しています。

*AIについて詳しく知りたい方は、↓の参考記事をご参照ください。

CCCの強み

CCCが狙う市場は自動車保険と衝突修理です。同社は、AIベースのソフトウェアを保険会社と修理会社に販売しています。両社は、このソフトウェアによって、ドライバーを再稼働させるための複雑なプロセスを効率化することができます。

CCCの強みは、他の保険ソフトウェアが保険のみに焦点を当てているのに対し、CCCのソリューションは、保険会社と修理会社の間のコミュニケーションとワークフローを統合し、シンプルにすることができるという点にあります。これによって、保険会社がCCCのソリューションを活用すればするほど、修理会社もこれを使いたくなるという強力なネットワーク効果が生じます。実際、CCCは300社以上の保険会社と26,000以上の修理工場のネットワークを構築しています。

CCCのもう一つの強みは、大量のデータを保有していることです。これによって、社内のAIチームを構築する余裕のない保険会社に対して、保険金の見積もりを行い、意思決定の迅速化を支援するAIソリューションを販売することが可能となっています。

また、修理工場は、CCCのAIを導入することによって常に保険会社と繋がり、リアルタイムで現在の部品価格や在庫状況などを閲覧してコストを見積もることができます。

広く市場に浸透するCCC

上記の通り、CCCはすでに26,000以上の顧客を抱えていますが、CCCの市場はアメリカだけではありません。CCCは中国にも市場を持っており、すでに中国の大手自動車保険会社5社のうち4社がCCCのプラットフォームの顧客となっています。

このように、CCCはすでに広く市場に浸透しているといえますが、そのために収益の成長が遅くなっているとの評価もあります。もっとも、CCCはすでに強力なネットワーク効果を保持しており、今後のCCCの動向から目が離せません。