株式会社spectee(以下スペクティ)はAIを用いて災害の動向を予測する防災テックベンチャーだ。7月3日、梅雨前線による豪雨の影響を受けて関東広域で水害が発生した。特に神奈川県では箱根町で観測史上最大記録の24時間降雨量524mmを記録するなど歴史的な降雨となり、平塚市を流れる金目川及びその支流で発生した氾濫は平塚市内各地で浸水・完遂による被害をもたらした。
スペクティはAIによるリアルタイム浸水予測サービスを開発していて、Twitter,Youtube,Instagramなどに代表されるSNSから画像を自動取得し、災害の種類を自動でカテゴライズする。そしてそこから得られる浸水長データ・各地の地形情報、降水量などを統合的に解析してリアルタイムで各地の浸水状況をシミュレート・地図上に表示することを試みている。各地の被害状況を一覧的にある程度の制度で把握できることは自治体にとって防災の観点で非常に有益で、避難指示を出すかどうかの判断を助けるものになる。また自治体のみならず報道機関にデータ提供を行うことで、報道機関は現場に赴かずとも被害状況を把握し、より効率的な取材を行うことができる。これはすなわち情報の即時性の向上につながる。報道機関はスペクティから情報を受け取ると、最も被害が集中した地点に速やかに報道官を急行させる。警察や消防より早く到着し、「どうしてここまで早くつけるのか」と驚かれることも珍しくない。
スペクティ代表の村上 建治郎はネットワーク周辺機器大手のシスコシステムズなどを経て2011年に起業。東日本大震災に列島中が襲われ、二次被害が各地で頻発する中で、テレビニュースより圧倒的に即時性の高い情報源としてTwitterが機能していたという当時の状況から着想を得た。災害が発生する場所に居合わせた人々の一人一人がスマートフォンでインターネットに接続されている、デジタル時代ならではのアイデアだ。当初はSNSの情報と位置情報を結びつけるに過ぎないサービスだったが、2014年の首都高速道路火災では、テレビニュースの第一報が一般人のSNS投稿より一時間も遅れたことに衝撃を受け、AIを用いてサービスを向上することに思い至った。
スペクティのサービスには大まかに二つのAIテクノロジーが用いられている。一つは画像処理で、SNSから取得した画像は独自のアルゴリズムによって災害の種類ごとにカテゴライズされ、そこからさらに被害の程度を自動で推定する。数百万枚もの災害に関する画像を用いて学習することでアルゴリズムは構築されたという。
もう一つはテクストスクレイピング・自然言語処理技術だ。画像データのみならずSNS上の投稿をテクストデータとして自然言語解析を行い、そこからも災害の程度を推測している。また情報の解析で被害程度を予想するのみでなく、同様に自然言語処理技術を用いた文章生成で、災害に関するニュース記事をAIによって自動作成する試み、いうなれば「AI記者」も現在開発中だという。これが完成すれば、取材から記事制作まで、報道機関の業務は一気に自動化されることになる。記者の仕事を奪うことになるのではという懸念も当然想定されるが、記者の本来の役割は人と人とのコミュニケーションの中で話を聞き出し、物事を把握すること。決して機械には奪えない本質的な業務に集中できる環境を整えるため、スペクティは報道のクオリティの向上に挑み続ける。
文中に登場した技術に関する解説記事はこちら
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