Paytm

「PayPay」を提供するインド最大の決済サービス事業者Paytm

今や日本における電子決済の代名詞の一つともいえる「PayPay」。このオンライン決済サービスの立ち上げの裏には一つのインド発大企業の力があります。

ソフトバンクとヤフーは、2018年に合併会社「PayPay」を創業する際に、インドの決済サービス運営企業「Paytm」と連携することで、サービス拡大を目指しました。ソフトバンク・ビジョン・ファンドのポートフォリオカンパニーでもあるPaytmとは、いったいどのような企業なのでしょうか。

Paytmについて

デリー首都圏の外側に拠点を置くPaytmは、2010年に創業した「One97 Communications」という会社の消費者ブランドです。その名称は「Pay Through Mobile(モバイルを通じて決済する)」の略語となっています。

2015年に中国の電子取引企業アリババから6億2500万ドルを調達し、アリババグループはOnes Communicationsの筆頭株主になりました。その後、中国において既に普及していたQRコード決済のノウハウを取り入れ、インド版のアリペイともいえるデジタル決済サービスを普及させました。 

2017年には前述のとおり「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」においてソフトバンクが14億ドルを出資し、世界的に注目されるデジタル決済会社へと成長を続けていきました。

どうしてインドでPaytmが普及した?

インフラ整備などが日本に比べ遅れているインドにおいて、一見モバイル決済のシステムは浸透しにくいような印象を受けますが、実はインドではかなりの範囲でキャッシュレス化が進んでいます。それはどうしてでしょうか。

2010年ごろまで国内の半数ほどが公式の身分証明書を持っていなかったインドにおいて、オンラインでの決済はほとんど採用されていませんでした。そこでインド政府は2009年に国民にデジタルIDを回付することを目標とし、2014年にはほとんどの割合の国民に配布することに成功しました。

さらにその後インドのキャッシュレス化を加速するきっかけがありました。2016年にモディ首相が500ルビー、1000ルビーの高額紙幣を廃止したのです。廃止対象は、流通する紙幣のおよそ85%に相当したといいます。その背景には当時横行していた税逃れであるブラックマネーの撲滅、さらにキャッシュ依存からの脱却がありました。一時的に国内では混乱が広がりましたが、結果的に三年間で約二兆円相当のブラックマネーを没収するとともに、キャッシュレス決済を急速に進める起爆剤となりました。

AI分野におけるポイント

信用取引

PaytmはAIを「信用取引」の分野に用いています。トランザクション(一連の取引)ごとにリアルタイムでユーザー側の与信状況を審査し、中間の信販会社を介さず販売店がユーザーに直接ローンを提供することを可能にしました。独自のSaaSアプリケーションシステム「Paytm AI」により0.001秒の間に1000ものルールを適応し、利用者と加盟店のセキュリティを保証しています。また、中国を代表するIT企業の二大巨頭アリババ、テンセント、そして平安保険の共同出資により誕生したZhongAn保険とPaytmが提携し、Paytmの800万件の加盟店と3億人以上の顧客に、ZhoungAn保険の発行を始めています。

ソフトバンクの孫正義氏は「商品に対する保険、盗難保険といったものを売り始めたら、どれほどお互いのAIとAIが結びつくのか。Paytmの持っているデータと、ZhongAnが持っているAIの技術力が合わされば、どれほど素晴らしい革新的なサービスが始まるか、想像しただけでワクワクします。」と語りました。

最後に

Paytmのユーザーは今や三億人を突破しており、インドの街へ行くとあらゆる場所でPaytmと記載されたQRコードを見ることができます。Paytmはさらにデジタルウォレットを主軸に保険や金融の分野、電子マネーで決済できるマーケットプレイスなど、ビジネスの分野を広げており、今後さらなるユーザー数の増加が予想されます。また800万のオフライン加盟店に包括な決済サービスを提供しており、Paytmはさらなる事業拡大を進めていくことが予測されます。

今後のPaytmの拡大に注目したいところです。

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