インドで開発された最新鋭デリバリーサービス
インドでは最近、スタートアップ企業の中で「ハイパーローカルデリバリー」と呼ばれるサービスがトレンドとなっています。
ハイパーローカルデリバリーとは、文字のとおり非常狭い範囲における配達サービスで、食料雑貨品、料理、医薬品など、多岐にわたるジャンルの商品を配達します。
その中でも、ソフトバンクの孫正義氏が投資しており、特に注目すべき企業が「Grofers」です。
「Grofers」について
今回はソフトバンクが各ビジネス分野で成長を続けるスタートアップAI企業を支援する「ソフトバンクビジョンファンド」の対象企業の一つであるGrofers(英: Grofers India Private Limited)について紹介します。
Grofersは、インドハリヤーナー州グルグラムに本社を置く、オンラインのスーパーマーケット運営を手掛けるスタートアップ企業で、元々はBtoB(Business to Business)向けでしたが現在はBtoC(Business to Customer )を中心としています。
インドの買い物事情
インドでは外資規制の影響によりコンビニエンスストアのようないろいろな物を取り扱う店舗は稀で、キラナと呼ばれる家族経営の零細雑貨店が多く存在します。
キラナでは店舗ごとの品揃えが悪いため、買い物で欲しい物を揃えるには何軒も店舗を立ち寄りレジの順番を待つ必要があったり、冷蔵設備がないために生鮮食料品の鮮度が悪かったりするといった問題を抱えていました。
また、都市部では交通渋滞がひどく週末にショッピングモールへ買い出しに行くことも困難でした。
Grofersはそういった買い物事情の問題を解決する手段の1つとなっています。
Grofersの戦略
Grofersは、非常にせまい範囲において店舗から顧客に食料品をデリバリーするサービスです。
モバイルアプリで注文するとバイク便が提携先の店舗に向かい商品を受け取り、90分以内または任意の時間に届けてくれるようになっています。
展開する都市もデリー、ムンバイ、バンガロールなど、インドの主要都市を中心に27都市をカバーしています。
ソフトバンクビジョンファンドは、Grofersへの2億2,000万ドルの投資を主導しました。
この投資によって、Grofersの評価額は7億7000万ドルに引き上げられました。
その後、ソフトバンクグループは昨年、グローファーズに約6000万ドルを投資し、後にその株式をビジョンファンドに売却しました。
急速なペースの資金調達によって、特に東部のニューデリーやコルカタなどの収益性の高い都市を中心に勢力を拡大しています。
昨年独自のブランド製品を発売したこのスタートアップは、年末までにマーチャントネットワークを従来の2倍である10,000に増やす予定です。
Grofersに立ちはだかる障壁
約7年前に設立されたGrofersは、世界で最も激しいeコマースの戦いの1つになりつつある真っ只中にあります。
急速に増加する人口と増加する中産階級に影響されて、外国投資はインドの初期のオンライン食料品セクターに注がれています。
Alibabaなどから出資を受けているBigBasketも急速に成長を続けている上に、ビジョンファンドの以前の投資先でWalmartが買収したFlipkartや、Amazon Indiaが参入してくる見込みで、競争が激化していくことが予想されます。
今月初め、Grofersの最大のライバルであるAlibaba Group Holdingが支援するBigBasketは、1億5000万ドルを調達し、ユニコーンになりました。
これらの食料品プレーヤーはどちらも、FlipkartやAmazonと対決する必要があります。
しかし、競争が激化しても、Grofersの代表取締役Dhindsa氏は勝機を見出しているようです。
「私たちは自分自身を構築することに焦点を合わせています。私たちの見積もりでは、私たちはBigBasketと同じかそれ以上のサイズであり、彼らが費やした資本の半分でそれを実現しています。そして、私たちの市場戦略は他社とは非常に異なっています。」とDhindsa氏は述べています。
まとめ
インドについて、いまだにインフラ整備が世界に比べて遅れていると考えている日本人も多いのではないでしょうか。
しかし近年、バンガロールを拠点とするインドのIT業界は、先進的な分野において急速に成長しています。
新型コロナウイルスが蔓延し、食品配達の需要が高まっている中、最新技術を取り入れたオンライン食品配達サービスGrofersの今後の成長に注目していきたいところです。