Googleが“Pathways”と呼ばれるAIアーキテクチャ(AIを設計するための設計思想)を発表しました。
従来の機械学習
第一次AIブームから現在の第三次AIブームに至るまで様々な変遷をしてきたAIですが、特に近年は機械学習の発展によって複雑な処理を行うことが可能となりました。
*機械学習について詳しく知りたい方は、↓の関連記事をご参照ください。
その中でも注目すべきがGoogleの機械学習です。例えばGoogleの検索エンジンを使用する際、調べるものの綴りやスペルが間違っていても検索エンジンに搭載されたAIが補正をかけて正しいものを検索してくれる仕組みとなっています。
また、「Google Assistant」と呼ばれるシステムでは、ユーザーが『OK, Google』と呼びかけるだけで音楽をかけたり調べものをしてくれたり、さらにはルート案内までしてくれるなどといったように、様々な業務を行ってくれます。
Pathwaysの特徴
既にこのような優れたAIを開発しているGoogleですが、今回はそれを超えるさらに優れたAIを発表しました。順を追って説明しましょう。
現在、世界で開発・運用されているAIはいわば”特化型AI”です。すなわち、限定された領域や特定のタスクに対してのみその機能を発揮することができるAIで、高度に専門化されていることに加え、単一の “感覚 “に焦点を当てています。つまり、一度に1種類の情報しか処理することができません。
一方、今回発表されたGoogleのPathwaysは”汎用型AI”に近づいたものと言えます。すなわち、これまで蓄積した経験やデータに基づき、様々な状況やタスクに対応できる汎用性を持ち合わせたAIのことを指します。
Pathwaysは、哺乳類の脳のような部分にあたり、特定のタスクに限定することなく単純なものから複雑なものまでの様々なタスクを遂行することができます。視覚、聴覚、言語理解を包括したマルチモーダルモデルが実現することによって、より抽象的な形式のデータを扱うことができ、気候力学などの複雑なシステムにおいて人間の科学者が見つけられなかった有用なパターンを見つけることにも役立つと言われています。
Googleシニアフェロー兼Googleリサーチ担当SVPのジェフ・ディーン氏は、「Pathwaysはネットワークのどの部分がどのタスクに適しているかを動的に学習し、モデルの最も関連性の高い部分にタスクを割り振る方法を学習します。この種のAIアーキテクチャの大きな利点は、さまざまなタスクを学習するための容量が大きいだけでなく、タスクごとにネットワーク全体を起動する必要がないため、速度とエネルギー効率が大幅に向上することです」と述べています。
これまで記述してきたように、今回Googleが発表した次世代AIアーキテクチャPathwaysは、汎用型AIとしてより理想的なAIに最も近づく存在となるでしょう。