機械学習とは?つまずいた人にも分かりやすく

よく耳にするようになった「機械学習」ですが、AIや深層学習との違いなどをよく理解していない人が多いのではないのでしょうか。そこで今回は機械学習について初めて学ぶ人や一度学んでみたけれどもよく分からなかったという人でも分かりやすいように解説していきます。

目次
機械学習の概要
つまずきがちなポイント
機械学習の学習方法
 教師あり学習
 教師なし学習
 強化学習
機械学習の分析手法
機械学習の活用事例

機械学習の概要

機械学習(Machine Learning)とは、人間の学習の仕組みを模したもので、機械が自ら「データから規則性や判断基準を学習し、それに基づき未知のものを予測、判断する技術」のことを指すと総務省は定義しています。つまり、学習データを基にモデルを作成し、このモデルに新たなデータを入力し、知見を得るというシステムが機械学習なのです。

機械学習において重要となるのが、特徴量の設定です。特徴量とは、データのどの部分に着目すれば良いのかという指標のことで、単なる”特徴”ではなくあくまで”数値化された値”のことを指します。例えば人間の特徴量は、「身長」や「体重」、「性別」、さらには「視力」などもこれにあたります。人間を構成する特徴量には様々なものがありますが、何を求めたいのかによって設定する特徴量は変わります。したがって、機械学習においては何が重要な指標となるのかを見極め、質の高い特徴量を設定することが精度の高いAIを作り上げるために重要となるのです。

*人工知能について詳しく知りたい方は、↓の参考記事をご参照ください。

つまずきがちなポイント

機械学習を学ぶ人がよくつまずくポイントとして、「AI」や「機械学習」、「ニューラルネットワーク」、「深層学習(ディープラーニング)」を混同してしまう点が挙げられます。そうならないために、まずはこれらの用語同士の関係を以下の図で確認しましょう。

このように、機械学習はAIを作るための一方法であり、ニューラルネットワークは機械学習の分析手法の一つです。そして、このニューラルネットワークを応用したものが深層学習なのです。

ニューラルネットワークとは、人間の脳にあるニューロンの機能や仕組みをまねることによって柔軟で有用な情報処理を行うモデルのことです。一方、深層学習とは、近年のAIブームの火付け役となった機械学習の手法です。これはニューラルネットワークを多層に用いて行う機械学習のことであり、ニューラルネットワークの発展形ということができます。

*深層学習(ディープラーニング)について詳しく知りたい方は、↓の参考記事をご参照ください。

機械学習の3つの学習方法

機械学習は、教師データの与えられ方によって「教師あり学習」、「教師なし学習」、「強化学習」の3つに分類することができます。これらの学習方法について見てみましょう。

教師あり学習

教師あり学習とは、教師なし学習と対をなす学習方法で、学習データに正解のラベルを付して学習させる手法です。教師あり学習は、「分類」と「回帰」という2つの用途に使われることが多いです。分類とはデータが属するカテゴリを識別することで、画像や音声を識別することができます。一方、回帰では連続値の予測が可能で、株価や売り上げの予測を行うことができます。

教師なし学習

教師なし学習とは、学習データにラベルを付けずに学習する手法です。これは、機械が自律的に類似性のあるデータを分類する「クラスタリング」と呼ばれる用途に使われることが多いです。教師あり学習の分類との大きな違いは、学習データにラベルを付さないため、習っていないカテゴリも識別することができるという点です。

*教師なし学習について詳しく知りたい方は、↓の参考記事をご参照ください。

強化学習

強化学習とは、機械が試行錯誤を行い、その行動に対して報酬を設定することにより学習させる手法です。つまり、試行錯誤そのものが学習データとなります。

*強化学習について詳しく知りたい方は、↓の参考記事をご参照ください。

機械学習のアルゴリズム

1. 回帰分析
予測したいデータである目的変数と予測したいデータの要因となるデータである説明変数の関係を定量的に分析し、分析結果に基づく予測を行います。

2. 決定木
与えられたデータに対して、次々に条件を設け、データを段階的に分類していく手法です。段階的に分類していくことで木の枝のようになることからこの名前が付いています。

3. K平均法
特徴・傾向が似ている標本をいくつかのグループに分類します。

4. アソシエーション分析
同時購入の頻度等を算出し、消費者の選択・購入履歴から推薦すべき商品を予測します。

5. ソーシャルネットワーク分析
氏名が同時掲載される頻度やSNS上での友人関係から人のつながりを分析します。

機械学習の活用事例

ここまで学んできた機械学習ですが、遠い未来のための技術だと考えている方がいらっしゃるかもしれません。しかし、機械学習は既に私たちの生活を支える、なくてはならない技術となっているのです。そこで、この章では注目の機械学習の活用事例をいくつかご紹介します。

1. データ分析
コンビニやレストランなどの店舗の来店分析に機械学習が活用されています。顧客の属性と購入情報から仕入れを合理化したり、新製品の開発に役立てられています。担当者の勘に依存していた仕入れや陳列を機械学習に任せることにより売り上げの向上に成功した企業もあります。

2. データ予測
農作物の収穫量や収穫時期の予測にも機械学習が活用されています。気象データをもとに収穫量や収穫時期を予測することで、人手を合理化したり、廃棄量を削減することができます。また、トレンドが移り変わりやすいアパレル製品などの流行及び需要を予測することもできます。そうすることで過剰在庫や廃棄を防ぐことができます。

3. 自然言語処理
自然言語処理の技術を使ってチャットのやり取りを自動化するチャットボットを導入する企業が増えています。人件費削減や24時間対応が可能となります。

4. 音声認識
チャットのやり取りだけでなく、コールサポート業務もAIによる自動化が行われています。これを支えるのが音声認識の技術です。人件費の削減や顧客満足度の増加につながるため、導入する企業が相次いでいます。

5. 画像認識
画像認識の技術により、手書きの文書を手軽に電子化することができます。DX化が求められる中で活躍しています。他にも、レジにて商品を自動で読み取ることが可能となり、無人レジや迅速な会計の実現をサポートしています。また、自動運転の実現になくてはならない技術であると言えます。