Fair―「自動車所有の未来を創るスタートアップ

同社は自社のビジネスモデルを「自動車所有の未来」と喧伝しています。これが何を意味するのか、なぜ同社にソフトバンクの孫正義氏が出資したのかについてみていきたいと思います。

企業・サービス概要

はじめに同社がどのような企業なのかについて説明したいと思います。同社は2016年に設立されサンタモニカを拠点とする自動車サブスクリプションサービスを提供するスタートアップです。モバイルアプリやウェブサイトを通じて簡単に、予算内で自動車を探し利用することができるようにしています。一連の流れは、リース契約への署名も含めて、アプリを通じて簡単にできます。毎日数百台の自動車が新たに登録され、月一のペースで利用できる都市が増えるなど急成長を遂げています。

孫氏の投資

2018年、ソフトバンクがリードするシリーズBラウンドでの資金調達でFairは3億8,500万を手にしました。このラウンドには他にもExponential Ventures、保険大手 Munich Re の Ergo Fund、G Squared、CreditEase が参加しました。今回調達した資金は「一般消費者向けプラットフォームや Uber とのパートナーシップを世界的にスケールする」ために使用されるとの声明が出されました。2019年、その言葉通り上記の資金でFairはUberからリース部門を4億ドルで買収し、Uberと提携しながら配車サービスの運転者へのリースビジネスを強化しました。さらに同年9月には、Fordから同業のCanvasを買収し(金額は非公開)、ソフトバンクやみずほ銀行から計5億ドルを調達しました。

成長のためのリストラ

ここまで積極的に買収を進めてきたFairだったが、同年10月、従業員40%とCEOのスコット・ペインター氏が解雇された。新たなCEOにはソフトバンクのアダム・ヒーバー氏が就任した。保険料増額によりライドシェアドライバー向けの価格を大幅に上げることが余儀なくされたため、Uberのドライバーが短期間(週単位で)車を借りられるFair Goプログラムを終了させ、収益性を追求するためであります。ただこの決定はソフトバンクからの圧力ではないとFair側が語っています。

投資理由

すでにUberで同様のことを行っています。ソフトバンク・ビジョンファンドのLydia Jett氏は、「Fairなら、ライドシェアを世界規模で展開できると思っています」と語ったようにソフトバンクは長期計画としてFairを使って、より多くのドライバーに車両を提供することでライドシェア産業を拡大しようとしています。ソフトバンクが投資を決めた理由のもう一つには、FairがUberの事業を好転させた実績があります。同氏はこの点も高く評価していました。

創業者が買戻し

創業者であり、前CEOのスコット・ペインター氏がソフトバンクなどから買い戻すことを検討していることが報道されました。現在、買収提案について、米証券キャンター・フィッツジェラルドなどが手掛ける「特別買収目的会社(SPAC)」と協議中とのことです。ただ、関係者によれば、SPACとの話し合いは契約段階には至っておらず、これから先は未知数であります。

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