DiDi

企業・サービス概要

DiDiはアプリを使ってタクシーを呼べるサービス。タクシー配車アプリの「DiDi Taxi」、ヒッチハイクアプリの「DiDi Hitch」、自転車シェアアプリの「DiDi Bike-Sharing」など、世界中で幅広い交通手段を提供し、5億5000万人以上のユーザーと数千万人のドライバーを抱える世界最大級の交通プラットフォームである。中国ではライドシェア最大手の「滴滴出行」が運営し、国内では日本支社としてソフトバンクとの合弁会社「DiDiモビリティジャパン」という会社が運営している。

2016年8月1日にはライバル企業Uberの中国事業を買収した。2017年4月、同社は資金調達ラウンドで55億ドル以上の資金を調達し、世界で最も価値の高いテクノロジー企業の一つとなった。

2015年だけで乗車回数14億回を達成し、2016年には1日平均で2000万回以上となり2009年の創業から6年かけて10億回を達成したUberを大幅に上回るなど世界で最も支配的なライドシェア企業となった。一方で、2018年に殺人事件が2件発生し、2014年〜2018年9月に強姦事件が19件発生するなど運転手による犯罪の多さおよび会社側の犯罪に対する対応の不十分さが問題になっている。

特徴

日本人が日本版のDiDiを中国で、あるいは中国人が中国版のDiDiを日本で利用できる「ローミング」という機能がある。中国版DiDiは日本でもWeChat PayやAlipayによる決済が可能である。また外国人との会話のため、自動翻訳によるドライバーとのコミュニケーション機能も提供している。

中でもDiDiが最も力を入れているのはタクシードライバーやタクシー会社が利用するアプリやサービスである。ドライバー向けアプリには、乗客の多いエリアを予測するヒートマップ機能を提供。15分先の需要を85%の精度で表示するとのことで、経験が浅いドライバーであっても乗客の多いエリアを運行できるようになる。さらに、ドライバーが営業所の車庫に帰る際、もし車庫とは逆の方向に向かう乗客を乗せてしまうと、ガソリン消費が多くなり効率が悪くなることから、車庫の方向に向う乗客だけに配車する機能なども用意している。また、乗客によるドライバーの評価を確認することが可能であるため、単に効率を高めるだけでなく、ドライバーへの指導やサービス改善にも役立てられる。

投資理由

DiDiは2018年に起きた相乗りサービス「Hitch(順風車)」を利用していた2人の乗客が殺害された事件を受けて、収入よりもコンプライアンスに重点を移したため110億人民元(約1,825億円)という巨額の赤字を出した。2016年に45億ドル、2017年には55億ドルもの投資ラウンドが開催されており、同社が記録的な大赤字を出したこの年でさえも、16億ドルを同社に投資するとソフトバンクの孫正義氏は発表した。

その理由について孫氏は、配車サービス業界の各企業がまだ利益を上げていないものの、それらの企業が非常に急速に成長していることを挙げた。翌年、DiDiは労動者の15%に当たる従業員2,000人を一時解雇した。さらにコアビジネスでないビジネスの一部を見直し、不必要な分をカットし、コンプライアンス、ドライバーの管理、国際化に注力するために追加の人員を雇い再起を図った。

AIに関する特徴

新しい移動体験

配車プラットフォームとして、タクシーに「乗りたい」という顧客と「乗せたい」というドライバーとをアプリでマッチング。AI(人工知能)を活用した高度な分析・予測テクノロジーで、タクシー配車の最適化を実現し、今までにない移動体験を提供。

AI活用

従来の配車アプリは裏方で人間が配車をおこなっているのに対し、DiDiアプリはAI(人工知能)を活用して、人の手を介さずに配車を完了させる。AIによる効率的な配車で、実際に大阪ではタクシー到着時間が平均で5分以内となっている。

5000人以上在籍するエンジニアという強みを活かし、スピード感のある開発を行う。

DiDi Research Institute

機械学習やコンピュータビジョンを含むAI技術に焦点を置く「ディディ・リサーチ・インスティチュート」を設立した。派遣システムとルート計画を最適化するために数百人の科学者が研究所でディープラーニング技術に取り組んでいる。

DiDi Labs

2017年3月、カリフォルニア州マウンテンビューに「ディディラボ」を設立した。ディディラボは主に、AIベースの安全かつインテリジェントな運転技術に注力している。

ビッグデータ

・毎日、同社のプラットフォームは70TB以上のデータを生成しており、90億以上のルート要求の処理と130億以上のロケーションポイントを生成している。

現在、車上のセンサーからの匿名化されたデータや道路やストリートからの静的情報及びリアルタイムの出来事をDiDiの乗車と降車のデータ、旅行、運搬容量と統合したクラウドプラットフォームを構築している。このプラットフォームにより、運搬の需要と供給のバランスを効率的にとることができ、渋滞を大幅に緩和できる。

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