Facebook(現:Meta)、合成データのスタートアップを買収

2021年10月、Facebook(現:Meta)は、ニューヨークに拠点を置き、AI学習のための合成データ生成プラットフォームを提供する AI.Reverie を買収しました。

*合成データについて詳しく知りたい方は、↓の関連記事をご参照ください。

関連記事:シンセティックデータ(合成データ)とは

AI.Reverieとは

AI.Reverieは、Daeil Kim氏、Joey Tran氏、Paul Walborsky氏らによって2017年に立ち上げられて以降、 AI用のアノテーションを施された合成動画・画像を生成するAPI・プラットフォームを提供することで急速に成長してきました。

このような合成データは、AI開発のために実データと並行して使用されることが多く、コロナ禍において企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む中、注目を集めています。

2019年にAI.Reverie が発表したある研究では、合成データで学習したモデルは、わずか10%の実データで微調整されることで、実データのみで学習したモデルと同等の性能を達成したとされています。これによって、合成データの信頼性が大きく向上しました。

AI.Reverie への期待も、今後ますます高まっていくことでしょう。

買収の目的

AI.Reverie は、今回の買収前からFortune500の顧客を数多く抱えていました。しかし、Facebook(現:Meta)の目的は顧客基盤ではなく、 AI.Reverie の合成データ生成技術にあると思われます。

合成データは、ヘイトスピーチを検出するアルゴリズムの性能向上やバーチャルリアリティ(VR)、拡張現実(AR)環境における開発に利用できる可能性があります。

また、コロナ禍の影響でデータのプライバシーに関する規制やガバナンスが強化される傾向にありますが、合成データはコンプライアンス上でも Facebook (現:Meta) に 利点をもたらすと考えられます。