「データ分析はAIの全て」といっても過言ではありません。
現在、AIはあらゆる産業に応用されていますが、すべての根本はデータ分析から始まります。何をするうえでも、最初に大量のデータを分析することが必須となります。
では、皆さんはAIがどのようにデータ分析を行っているのか正しく理解していますか?
多くの方がなんとなく、「ディープラーニングで分析してるんでしょ?」などと思われているかもしれませんが、ディープラーニングはAIによるデータ分析の一部分に過ぎません。
この記事では、AIによるデータ分析がどのように行われていて、従来人間が行っていたデータ分析と比べてどのような違いがあるのかについて説明します。ぜひご覧になってください。
AIが行うデータ分析の仕組み
まず初めに、AIがどのようにしてデータ分析を行っているのかについて説明します。
今回は、大量のデータをAIに学習させ、その後の予測に役立てるための分析を行う機械学習と、機械学習のうち、一定数のデータをもとに、AIが自ら特徴量*をつかみ分析を行うディープラーニングについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
*特徴量…分析しようとしている対象物の測定可能な特性のこと。
機械学習
改めて、機械学習とは大量のデータをAIに学習させその学習結果をもとに予測などを行っていく仕組みです。そして機械学習には大きく分けて以下の3つの方法があります。
教師あり学習
大量の教師データ*をAIに学習させることによって、ある新しいデータが入力された時、学習結果をもとに正しいデータを予測し出力することです。主に、「識別」や「回帰」として用いられる場合が多くなっています。
- 識別…既存のデータをもとにして、新たなデータの振り分けを行うこと。
ex.迷惑メールの振り分け - 回帰…既存のデータをもとにして、連続する新たなデータの予測を行うこと。ex.株価の予測
*教師データ…例題とその答えがセットになっているデータのこと。
教師なし学習
正解の与えられていないデータをAIに学習させ、分類などを行わせるものです。「クラスタリング」などに用いられる場合が多くなっています。
- クラスタリング…類似した特徴を持つデータを分類すること。
強化学習
教師なし学習と同様に、正解のないデータをAIに学習させ、どうすればそのデータの価値が最大化されるのかをAIに試行錯誤させるといったものです。
Ex.) ロボットの歩行制御
目標として「歩いた距離」を設定し、歩行距離を最大化するためにロボットは自ら様々な歩き方を試行錯誤するといったものです。
従来、AIを用いた分析といえばこの3つの機械学習がメインであり、それらは全て人間が直接、特徴量を指定しなければなりませんでした。そのため、機械学習が機能するには多大な時間とコストを要し、精度も完璧とは言い難いものでした。
しかしながら、近年になり特徴量を自ら抽出するディープラーニングというものが発見されました。以下ディープラーニングについてみてみましょう。
ディープラーニング
これまでにもAIブームは何回かあったものの、期待に見合った発見や進展はありませんでした。しかしながら近年、AIがブレイクスルーを迎えていると言われています。その大きな要因が、このディープラーニングの発見なのです。
AI白書2019によると、ディープラーニングの定義は、“簡単な関数を組み合わせて表現力の高い「深い関数」を作り、そのパラメーターをデータから推定する機械学習技術である”
(出典:AI白書 2019.pdf)とされています。
もう少しかみ砕くと、ディープラーニングとは、与えられたデータを分析し自ら特微量を発見し予測を行うシステムのことです。
何がすごいのかというと、従来は人間にしか特徴量を見出せずAIは与えられた特徴量をもとに分析を行っていたのに対して、ディープラーニングではそれをAI自らが行えるようになったという点です。
従来のデータ分析との違い
ここまで、AIによるデータ分析を細かく見てきました。
では、従来人間が行っていたデータ分析と比べてAIによるデータ分析は何が優れているのでしょうか。
まず、ビッグデータ*の解析・学習が可能であるという点が挙げられます。インターネットの普及によってこれまでより遥かに流通する情報の量が増加しました。そのため、分析一つとっても収集するデータの量は計り知れないものです。人間が行うには多すぎるものでも、AIであれば多すぎることは決してないのです。
次に、ディープラーニングの興隆より人間があらかじめ特徴量を設定せずともAIが自発的に発見することが可能となったという点が挙げられます。そのおかげで、従来人間が長年の経験や勘に頼って特徴量を抽出していたものがディープラーニングを搭載したAIに代替し、結果として機械学習の幅が広がりました。
*ビッグデータ…従来のデータ分析ソフトウェアでは扱いきれないほど量が膨大であり、かつ更新頻度が高く、非構造データをも含むといった多様性を備えたデータのこと。
まとめ
以上、データ活用におけるAIの導入の紹介でした。
ここまで見てきたように、AIはデータを取り入れ学習し、その分析の結果、「分類」だったり「予測」だったり、といった次のアクションを起こします。すなわち、何をするうえでもデータの分析という要素が必須になるのです。
今までは、人間が長年の経験や勘を頼りに多大な労力をかけて適切な特徴量を導き出してきました。これに対して、ディープラーニングの興隆によってAIは自らの手で特徴量を見つけ出すことが可能になりました。AIが特徴量を抽出すればするほど、ますます性能が上がることが期待されるので、AIによるデータ分析は今までより遥かに飛躍すると予想されます。