Automation Anywhere

AIを活用してロボットに知性を―孫氏が出資するユニコーン企業

皆さんは“RPA”という言葉をご存じですか。RPAとは、Robotic Process Automationの略で、デスクワークの中でも単純作業をソフトウェア型のロボットが人間に代わって代行することで業務の自動化を図るといったものです。今回紹介するAutomation Anywhereが提供するRPAサービスは、GoogleやCisco、General Motorsなどにも供給されており、2018年にはソフトバンク・ビジョン・ファンドから3億ドルもの資金を調達しました。

では、Automation Anywhereが提供するRPAは従来のものとどう違うのか、そしてどうして孫正義氏は出資をしたのかについて説明させていただきます。
是非ご覧になってください。

そもそもどういった企業なのか

そもそもAutomation Anywhereとはどういった企業なのかについて簡潔に説明します。

Automation Anywhere

◇2003年に設立されたアメリカのサンノゼに拠点を置くスタートアップ
◇AIを活用したRPAソフトウェアを提供している
◇従来のRPAに自然言語処理や非構造化データの読み取りの要素を加えている
◇「IQ Bot」をはじめ、機械学習を備えたロボット製品も開発している
◇2018年ソフトバンク・ビジョン・ファンドから3億ドルの資金を調達
◇資金調達総額は5億ドル超に達する 次に、Automation Anywhereが行っている事業について詳しく見てみましょう。

Automation Anywhereのサービス

RPAツールを開発・提供している同社ですが、どのような特徴があるのでしょうか。
以下の5つに分けて説明します。

⑴業務の自動化による作業ミス軽減

複数のアプリケーションを使用して分析・解析、そして資料作成を行うといった業務をRPAツールの導入によって自動化することで作業のミスを軽減することができます。

⑵RPA製品の開発が容易である

RPA製品は競合他社が開発したものを含めると多数存在しますが、Automation Anywhereでは、“Bot Store”という独自のマーケットプレイスを利用することで500を超えるロボットを参考にRPA製品を開発することができます。

⑶強固なセキュリティ

RBAC(ロールベースアクセス制御)という、認証されていないユーザーによるシステムへのアクセスを制限するためのアプローチや、保存データおよび移動中のデータの暗号化といった様々な対策により強固なセキュリティを築き上げています。

⑷コンプライアンス要件も満たす独自の機能

独自のBLM(ボットライフサイクル管理)機能を利用することで、大企業におけるボット開発、導入、管理という煩雑になりがちなプロセスを整備することができます。これによって、CMMI(能力成熟度モデル統合)レベル 5、SOXなどの厳しいコンプライアンス要件を満たすことが可能です。

⑸一元管理が可能なモバイルにも対応したコントロールルーム

RPAの頭脳とも言えるコントロールルームは、全社的なボットの導入、管理、制御を一元管理できるモバイル対応ウェブアプリケーションです。初期パイロット拡張の準備後に企業全体での実装を行う際、自動プロビジョニング、オーケストレーション、ガバナンス、そして実行可能なアナリティクスなどといった工程を全てコントロールルームで利用することができます。

このようにして、Automation Anywhereでは、高品質で開発容易なロボットを世界中の企業に提供しているのです。それでは、具体的にどのような製品を開発しているのか、いくつか製品を紹介しましょう。

●Enterprise A 2019

2019年10月に発売されたAutomation Anywhere Enterpriseの最新バージョンであり、日本語にフル対応、WebベースかつクラウドネイティブなRPAプラットフォームです。導入先の顧客はソフトウェアをインストールする必要がなく、Webブラウザからすぐに自動化を開始することができます。また、クラウドプラットフォームを利用することができ、いつでも簡単に拡張が可能なものとなっています。

●IQ Bot

請求書など、非構造化データがまだまだ多い中で、このIQ Botを使えばCSV ファイルに出力することができ、RPAによる自動化業務を拡大することができます。

●Bot Store

Bot Storeは世界初のロボットのマーケットプレイスです。500体ほどのロボットを提供しており、このアプリケーション内で検索するとロボットのパーツを提供してくれるだけでなく、デジタルワーカーとしての提供(経理担当というボタンをクリックすると経理担当が使える業務が出てきて、クリックすると履歴書のようなものを見て、関連するロボット全てをダウンロードできる)も開始されています

●Discovery Bot

AIで自動化の効果が高い業務プロセスを特定し、自動化の優先順位付けを行います。また、プロセス全体を最適に自動化するBotを自動的に構築します。この製品を利用することで、自動化する業務プロセスの特定にかける時間や、Botの開発時間を短縮することができます。

ここまで、Automation Anywhereがどういった企業で、どのような製品を提供しているかを紹介しました。最後に、なぜ孫正義氏がこの企業に出資したのかについて説明します。

孫正義氏がAutomation Anywhereに出資した理由

孫氏がIMAGINE TOKYO 2019で語ったこと

孫氏は、2019年に開催されたIMAGINE TOKYO 2019にて以下のようなことを語っていました。
「この30年間、日本の競争力が落ちている。競争力は労働人口×生産性となるが、人口が減っているだけでなく若い労働人口の比率も減っている。」

さらに、同氏は近年になって一人当たりの年間労働時間が減少している中でAIやロボットを活用したデジタルワークフォースであれば人間の労働時間の5倍働くことができるとしました。さらにRPAI というRPAとAIを掛け合わせることで、単純作業の自動化だけでなくAIが自ら学習して生産性を上げることが可能となり、それを先導している企業がまさにAutomation Anywhereであると説明しました。

Automation Anywhereに出資を決めた裏側

また、孫氏は「AIを制するものが未来を制する」と考え、ソフトバンク・ビジョン・ファンドがAIに特化して出資を行っているのもそういった要因です。

実際にAutomation Anywhereに出資した際には、孫氏自ら優秀なAIエンジニアがいる会社3社に声をかけ、RPAソフトウェアベンダーをデューデリジェンス*するコンテストを開催し優勝チームには3億円渡すから、3日後までに徹底的に調べて進言してくれと伝えました。そして進言をもとに10社ほどの候補企業のなかからAIにつながるRPA2社に絞り、最後は直感力でAutomation Anywhereへの出資を決めたとのことです。

*デューデリジェンス…不動産投資やM&Aの際に、企業の資産価値を適正に評価する手続き。企業の収益性やリスクなどを総合的かつ詳細に調査してその価値を査定する。(ASCII.jpデジタル用語辞典)

Automation Anywhereは、AIとRPAとを掛け合わせることで人材不足の現代に一石を投じました。AIが人間とともに働くことによって人間は仕事を奪われるのではなく、高度な仕事に集中できるようになると考えます。

以上、Automation Anywhereに関する記事でした。
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