ソニーがグランツーリスモ用AIを発表、自動運転にも応用可能か

ソニーグループのソニーAI、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)、ポリフォニー・デジタルは2022年2月、カーレースゲーム「グランツーリスモSPORT」 (GTS) で人間のチャンピオンドライバーにも勝るAI「グランツーリスモ・ソフィー」を開発したと発表しました。

グランツーリスモSPORTはSIEの子会社であるポリフォニー・デジタルによって開発された、美しい映像と本物さながらの運転が体験できるレーシングゲームで、幅広い世代を対象に人気を博しています。今回開発された人工知能、グランツーリスモ・ソフィーは、ただレースで勝利することだけでなく、レースにおいてマナーを守りながらハイレベルなパフォーマンスを出すことを目指して開発されました。

グランツーリスモ・ソフィーの特徴は、競技中にレースマナーを順守しつつ効果的な追い越しや防御的な操作、クラッシュの回避などのレーススキルを学習できる点にあり、この特徴は深層強化学習によって獲得されたものだと言われています。

深層強化学習とは、ディープラーニングと強化学習を組み合わせた手法であり、コンピュータ自身が特微量を見つけ出し、それを用いて「状態」を定義するため、状態を認識する精度が飛躍的に向上し、それにより機械やロボットが今までより容易に環境の状態に対応することを可能とした手法です。グランツーリスモ・ソフィーは、深層強化学習を通して、自動車の加速や空気抵抗、コースの境界線、対戦相手との位置関係などの環境を把握し、車両制御を学習しました。

深層強化学習によって、グランツーリスモ・ソフィーは、これまでのルールベースAIとは異なり、多様な状況に対応でき、また、ユーザーを楽しませるための人間らしい振舞いができるようになりました。また、グランツーリスモは精緻なシミュレーションゲームであるため、現実世界の自動運転に適用できるのではないかとも言われています。