AI×飲食業界

はじめに

昨今、「AI」「人工知能」という言葉を聞く機会もとても多くなり、様々な分野でAIの活用が進んでいます。一方で、業務の性質上AIなどの活用になじまないようにも思われる分野もあります。例えば飲食業界は「食べる」というリアルの行為と密接につながっているため、人と人とのつながりをまだまだ重視する傾向が強いようにも思います。そこで今回は、意外にも進んでいる飲食業界でのAI導入事例について紹介していきます。

ホールでの接客 

近年、ホールでの人手不足を解消するために、ロボットにより接客を行うチェーンの飲食店などが増えています。例えば、すかいらーくホールディングスは大規模なフロアロボット導入を発表しており、ロボットが基本的な接客を行うカフェもオープンしています。接客ロボットで最も導入されているのがソフトバンクロボティクスのPepperです。すでに受付や案内で用いられていたり、ソファ席に同席して話し相手にもなります。また、表情・体調・年齢に合わせてメニューを提案する機能まで搭載されています。

配膳ロボット

ホールでは接客に加え、配膳もかなりの人手を必要とする業務です。 

日本では 「PUDU」とよばれる配膳ロボットが多く使われており、配膳の無人化や効率化を図っています。位置把握機能や高精度のセンサーを搭載しているので、障害物を回避しながら安全に指定のテーブルに配膳を行うことができます。また、近年では食品認識機能やディープラーニング(深層学習)を通じて、配膳される食品の種類を確実に識別することができます。 

調理ロボット

調理ロボットとはその名の通り人間の代わりに自動で調理を行ってくれるロボットのことです。人工知能を搭載した調理ロボットもあり、様々な料理や調理工程に対応していたり、ディープラーニングにより調理を改善したりもします。 

調理ロボットの導入により、調理自動化に伴う人件費削減、高スピードで高水準の味の提供が可能になります。 

自動配達車

日本ではまだ実装は見られませんが、アメリカではデリバリーの自動化も進みつつあります。 

自動配送車のスタートアップ企業、ニューロ(Nuro)は、ドミノ(Domino’s)と提携して、ヒューストン周辺で焼きたてのピザの配達を行っています。 

高性能なカメラやセンサー、車や人・標識を識別する人工知能を搭載しているため、安全に店頭から顧客の自宅まで商品を運ぶことが可能です。 

現在、ドミノに加えて、クローガーやウォルマートの食料品から、CVSの処方薬まで提携先を続々と増やしています。 

新型コロナウイルスの感染拡大でデリバリーが増加したことより、現在のニーズにフィットしたものといえるでしょう。 

AIでの来客予測

飲食店などで勘や経験に頼っていた来客数の予測に、人工知能を導入する企業が増えてきています。気温や降水量などの気象データ、自社サイトへのアクセス数、過去の売り上げ実績などから、翌日の来客数と注文数を予測する、機械学習を応用して来客予測を行います。 

来客予測は、店の仕入の調整や食品ロスの削減、サービス改善、商品企画、さらには事業計画作りにも大きく役立ちます。 

顔認証システム

近年、研究が進んでいるAI利用としては、顔認証による決済システムの導入があります。スマホでユーザー自身の顔とクレジットカードの情報を登録することで、顔を機械が読み取るだけで決済が完了します。 

また、あらかじめ登録された顧客の顔を認証、識別するシステムも導入されています。登録された顧客は、飲食店に入るとすぐにVIPとして識別され、特典サービスを楽しむことができます。会員限定のメニュー提供が可能になったり、常連の好みに合ったメニューを提案できたりと、その活用が期待されます。顔認証技術は、パーソナライズされた体験を生み出し、顧客満足度を高め、リピーターを獲得するためには絶好のツールといえるでしょう

まとめ

一見AIとは縁遠く思える飲食業界ですが、実は幅広くAIが利用されています。飲食業界の人材不足や、新型コロナウイルスの感染拡大で業界全体が落ち込む中、AI技術の活用は業務効率化や業績改善に大きく貢献するでしょう。 

近い将来、飲食業界でもAIが不可欠となる時代が来るかもしれません。