AI×エンタメ

はじめに

昨今、AIの進化は目覚ましく、様々な分野でAIの活用が進んでいます。特にデータの分析や共通点の抽出などといった単純な作業はAIの得意分野とされ、活用が著しく進んでいます。一方で、芸術や人の感情を読み取ることなどはAIの不得意な分野とされています。この記事では、そんなエンタメ業界においてAI活用がどの程度進み、どのように利用されているのか解説していきます。

ゲーム

ゲーム分野では比較的早い時期から、AIの活用が進んでいます。 

1970年代はゲームといえばアーケードゲームが主流でした。当時はパターン化された非常に単純な動きをするゲームAIでしたが、そこから徐々にAIの進化は進み、2013年には将棋AIがプロ棋士に勝利、2017年には囲碁AI「アルファ碁」がプロ最強と呼び声高い囲碁棋士を撃破しました。 

近年では、RPG(ロールプレイングゲーム)や FPS(ファーストパーソン・シューティング)ゲームが人気を博しています。ゲームのNPC(ノンプレイヤーキャラクター)などの言動を左右する頭脳に当たるキャラクターAI、ゲームの進捗やイベント発生などを管理するメタAI、ゲーム内の経路やゲームの進捗状況などを共有するナビゲーションAIといった様々なAIが利用されています

作曲

AIとは全く縁がなさそうに思われる音楽の分野においても、AIの利用が進められています。 

その中でもAIを使って音楽を作曲する自動作曲という試みが近年注目されています。 

例えば、イーロン・マスクが設立に関わったことでも知られる「 OPenAI 」という人工知能を研究する非営利団体は、楽曲を自動生成するAI 「Jukebox」をリリースしています。 

ユーザーがジャンルとアーティストを選ぶだけで、AIがそれにあった楽曲を歌詞付きで生成します。従来、音楽は楽器・歌声・抑揚・音色といった複数の要素から構成され、情報量が多いために、機械学習は難しく人工知能による作曲は進んでいませんでした。 

しかし、 OPenAIはデータを学習する際に、人間が通常知覚しない要素を排して分析することで、音楽生成を可能にしました。 

Jukeboxは音楽のデータのみならず、その曲の年代やアーティスト、スタイルなども共に学習しているため、ジャンルを分けた多様な楽曲を作成することが可能です。 

まだ、人間の作製する楽曲には匹敵しませんが、さらなる発展が見込まれています。 

 

調理ロボット

人工知能が小説を書くことなどできるのでしょうか。 

実は、現在人工知能は小説を書くことが可能になっているどころか、その作品が「星新一賞」という文学賞の一次選考をも通過しています。 

小説は語彙・文章構成・感情表現・情景描写など様々な要素が求められるため、人工知能が書くのは難しいとされてきました。 

しかし、公立はこだて大学の松原仁教授を中心とした「作家ですのよ」というプロジェクトは見事に小説の自動生成を実現させました。 

このプロジェクトでは星新一の作品データをAIに分析・学習させています。 

そのうえで生成には、 

1.人間が物語の基本となる小説のプロットを書く 

2.そのストーリーのあらすじに沿い、時間や天気などの要素に合わせた言葉を用意する 

3.それを組み合わせることでAIが自動で小説生成を行う 

といった手順を経ます。 

自動生成といっても、現時点では完全に自動でAIが小説を生成しているのではなく、指針となる人間の指示が必要です。 

 

テーマパーク

遊園地や動物園、水族館などのテーマパークにもAIは導入されています。 

例えば、入場の際のチケット購入や案内誘導にAIを搭載したパネルなどを見かけることは多いでしょう。 

また、待ち時間の予測にもAIが使われていることがあります。群衆の映像から混雑状況を検知したり、人の動きを捉える3Dステレオ視覚センサーを活用することで、待ち時間を正確に予測することを可能にします。 

さらに近年では、AIを搭載したカメラによって、迷子や落とし物を発見する技術も開発されており、さらなる活用が期待されます

まとめ

ここまでエンタメにおけるAI利用についてまとめてきましたが、創造性を必要とするこの分野にもAIが様々な形で活用されていることが分かったと思います。 

もちろん、現在のところAIは感情や動機を持ち得ないため、創作の分野においては人間には勝てませんが、今後のさらなる発展により、エンタメにおいてもAIが人間を超える日が来るかもしれません。