MIT、交通事故を事前に予測するディープラーニングモデルを開発

MITのコンピュータサイエンス・人工知能研究所(CSAIL)とカタール人工知能センターの研究者たちが、高解像度の衝突リスクマップを予測するディープラーニングモデルを開発しました。

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このリスクマップは、過去の事故データ、道路地図、衛星画像、GPSトレースを組み合わせて、将来の一定期間において予想される事故件数を記述したもので、リスクの高いエリアを特定し、将来の事故を予測します。

通常、この種のリスクマップは、数百メートル程度の低解像度で撮影されるため、道路がぼやけてしまい、重要な部分が見えなくなってしまいます。しかし、今回開発されたマップは、従来のものよりはるかに高解像度です。そのため、例えば高速道路は周辺の生活道路よりもリスクが高く、また、高速道路に合流・流出するランプは他の道路よりもさらにリスクが高いことを発見することができました。

過去のデータがなくても、あらゆる場所で将来の衝突の確率を決定する基本的なリスク分布を把握することで、より安全なルートを見つけたり、自動車保険会社が顧客の運転履歴に基づいてカスタマイズした保険プランを提供したり、都市計画者がより安全な道路を設計したり、さらには将来の衝突を予測したりすることが可能になります。

交通事故は発生頻度が低いにもかかわらず、世界のGDPの約3%に相当するコストがかかり、子供や若者の死因の第1位となっています。従来は、この発生確率の低さにより十分なデータを集められず、事故の予測がうまくいっていませんでした。

しかし、このチームのアプローチは、データを収集するために、より広い範囲に網を張っています。交通の密度、速度、方向を示すGPSの軌跡パターンと、車線数、路肩の有無、歩行者の多さなどの道路構造を示す衛星画像を用いて、危険性の高い場所を特定します。そうすれば、たとえ事故の記録がない地域であっても、交通パターンと地形だけで、危険度の高い地域と判断することができます。

このモデルを評価するために、科学者たちは2017年と2018年の衝突事故とデータを使用し、2019年と2020年の衝突事故を予測する性能をテストしました。その結果、衝突事故が記録されていないにもかかわらず、多くの場所が高リスクと認識され、追跡調査の年にも衝突事故が発生していました。