企業・サービス概要
2012年に設立されたアメリカ合衆国ニューヨークに本社を置く不動産テックのスタートアップです。同社は不動産エージェントの生産性向上を支援するソフトウェアを開発したり、仲介会社への手数料を0%にする、現在の仲介会社からの転職に移籍金を払う、エージェントにストック・オプションを付与する、主要都市にエージェントが利用可能な豪華なオフィスを出店させるなどして所属エージェントを増加させることで成長しており、創業わずか6年で成約金ベースで340億ドルへと増加し全米3位の取扱高に到達し、手数料収入でも10億ドルを視野に入れています。また、調達した潤沢な資金を活用し、ニューヨーク、ボストン、ワシントンDC、ダラス、サンフランシスコなどの20のアメリカの都市で主にラグジュアリー物件を中心に事業を展開するとともに、地域で力のある不動産仲介会社や不動産仲介会社向けCRMを提供するContactually などを買収しています。
Compassのアプリでできること
コレクション
Compassのアプリには「コレクション」と呼ばれる物件管理の機能が提供されています。これは、買い手やその家族の興味に合いそうな物件を集めて紹介するものです。メッセージのやり取りをアプリ内で行えるため、Eメールなどを別途開く必要がありません。さらに、売り主が価格を変更した際には、自動的に通知がなされるので、掲載状況を逐一追跡せずに済みます。
インサイツ
また、「インサイツ」はWebサイトやソーシャルメディア上での集客状況を分析する機能です。マーケティング計画を適宜見直し、見込客の獲得を最大化を可能にします。同機能を毎日使用するエージェントは実に92%に及ぶといいます。
マーケティングセンター
さらに「マーケティングセンター」というサービスがあり、印刷物やデジタルメディアに掲載する販促物のデザインを簡単に作成できます。わずか数クリックで高度なデザインが行えるのがメリットです。同社のクリエイティブチームが作成と拡散を支援するサービスもあります。
コンシェルジュ
契約したエージェントを支援する「コンシェルジュ」というサービスもあります。コンシェルジュはITサービスの利用方法を説明したり、物件の掃除や塗装といったサービスを斡旋したりして、エージェントが買い手と向き合う時間を増やせるようにします。
また、優れたエージェントは無利子ローンが利用可能であり、マーケティングや研修、採用やコーチングといった目的に使うことができます。そのほかにも、市況データを確認するコンパス「マーケット」や顧客情報を一括で管理する「CRM」の機能もあります。また、ロゴ作成、写真・動画撮影、ソーシャルメディア運営、Eメールマーケティングといった、エージェントの活動に必要なサービスが網羅されています。
孫正義の投資
2018年9月、Compassはソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下、SVF)などから4億ドル(約500億円)の資金を調達しました。今回調達した資金は、すでにこれまで取り組んできた3つの領域、トップエージェント引き抜きに必要な初期投資(契約金・オフィス・マーケティング費用)、 エージェントの採用とリテンション強化のための業務支援システム開発、地場仲介会社の買収費用に投資し、さらなるシェア拡大を図るようです。
2021年4月1日のニューヨーク証券取引所に上場し、公開価格を上回る21.25ドルで初値を付けました。公開価格は仮条件の下限である1株18ドルでした。同社の時価総額は約82億ドル(約9070億円)となりました。これにより同社株の3分の1を取得して筆頭株主となっていたSVFは莫大な利益を得ることとなりました。