Behavox

AIが社内の会話を監視する⁉―孫氏が出資するデータ管理企業

この世に存在する全ての企業は完璧なのでしょうか。もちろん、企業理念が上から下まで浸透しており勤務環境や人間関係が良く従業員が会社に対して不満がないという企業もあるでしょう。しかしながら一方で、競合他社への情報漏洩や、インサイダー取引などといった不正が起こる企業が存在するのも事実です。そのような事が起こりうる現代において、企業内リスクを最小限にとどめるためのサービスがあったら非常に助かりますよね。

そうです、そのサービスを提供しているのが今回紹介するBehavoxです。
是非ご覧になってください。

そもそもどういった企業なのか

そもそもBehavoxとはどういった企業なのかについて、簡潔に説明します。

Behavox

◇2014年創業で、イギリスに拠点を置くスタートアップ
◇AIデータオペレーティングプラットフォームを提供し、企業の内部データの集計、分析、規制を可能にする
◇2020年、AI Breakthrough社より、AIソリューションでの最優秀賞「Best Overall AI Solution」を受賞。
◇2020年にはソフトバンク・ビジョン・ファンドから一億ドルを調達

以上が、Behavoxに関する簡潔な説明でした。次にBehavoxが提供しているサービスがどういったものなのか具体的に見てみましょう。

Behavoxのサービス概要

AIを活用した分析プラットフォーム

Behavoxは、「AIデータオペレーティングプラットフォームを提供し、企業の内部データの集計、分析、規制を可能にする」とのことですが、一体どういうことなのでしょうか。

まず、データオペレーティングプラットフォームとは、「ビッグデータを蓄積し、その後加工・分析するという工程を一貫して行えるデータ分析の基盤」のことです。それに加えAIを搭載したものこそが、Behavoxが提供するサービスとなっています。AIが機械学習と高度な分析を重ねることで、企業内のメールや音声会話など大量のコミュニケーションデータから組織のコンプライアンス、サイバー、そしてコンダクトリスク*の緩和を可能にし、さらには企業の収入増加の機会を見極めることもできます。

なにより驚くべき点は、メールや電話履歴などといったデータだけでなく、電話口の人間の笑う頻度やスラングといった情報から相手との親密度合いを分析することができるという点です。これによって、過剰に親密な関係は予測された場合にはインサイダー取引などを検知し事前にリスクを最小限に留めることができるのです。

驚異的な音声認識技術

このようにして、音声データを分析できるBehavoxのAIですが、実際に驚異的な結果を出しています。2020年10月27日、BehavoxはNASAのアポロ11号ミッションの50年前の非構造化音声データを、最先端の音声検出技術を用いて解釈することに成功したと発表しました。

Behavoxはこの分析で、自社の音声認識と音声処理ソリューションが、音質の悪さ、消音性に関わらず、あらゆる通信データをシームレスに分析することが可能であるということを実証することに成功したのです。分析結果の中で最も注目すべき点は、1,000時間の音声を手動で書き写すのには約4,000時間かかるのに対し、Behavoxの音声認識技術はわずか10時間で文字起こしを完了したということです。

*コンダクトリスク…金融機関によって「顧客保護」、「市場の健全性」、「有効な競争」に対して、悪影響を及ぼす行為が行われるリスク

孫正義氏がBehavoxに出資した理由

以上でみたように、Behavoxが提供しているサービスは、「AIを搭載したデータオペレーティングプラットフォームを活用して企業に対して規制を行う」といったものですが、他のデータ分析企業とはどういった部分が異なっており、孫氏は出資をしたのでしょうか。

競合他社と最も大きく異なる点は、AIを活用しているということです。

従来のデータプラットフォームであれば、それまでにプラットフォームに蓄積された膨大な量のデータを何か問題が生じた後に人間の手によって調査されてきました。しかしながら、AIが膨大な量のデータを何か問題が生じる前に分析・発見することによって企業が被りうるリスクを最小限に抑えることができるのです。全メール、全会話を人がチェックすることは相当な人員を要するためコストもかかり、実用的ではありません。しかしながらBehavoxが提供するAIであれば全メール、会話を分析することができるのです。

このようにして、人ができないもの、かつ需要がある分野にAIを最大限導入してソリューションを提供するBehavoxだからこそ、孫正義氏は出資することを決めたのでしょう。

以上、Behavoxに関する記事でした。
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