Zuoyebang

中国で最前線を走る家庭教師プラットフォーム「Zuoyebang」の実態に迫る

今回は各分野で成長を続けるAI企業を支援する「ソフトバンクビジョンファンド」において孫正義氏からの投資を受けるスタートアップ企業の一つである教育プラットフォーム企業「Zuoyebang」について紹介します。

「Zuoyebang」とは

Zuoyebangは中国のトップオンライン家庭教師プラットフォームです。登録ユーザーが8億人を超え、そのうち1億7,000万人が月間アクティブユーザー、5,000万人が日間アクティブユーザーとしてアプリを利用しています。中国の幼稚園から12年生までの総人口がおよそ二億人であることを考慮すると、驚くべきシェア率であることが容易に理解できるのではないのでしょうか。

ライブストリーミング事業のフルプライスユーザーは過去2年間で10倍以上に急増し、2019年には前年比400%の急増を記録したといいます。同社の2020年春学期のライブストリーミング講座には130万人以上のユーザーが登録しました。

資金調達の経緯

 Zuoyebangは2015年にBaidu(バイドゥ)によって設立され、その1年後に同社は独立したスタートアップとして分社化しました。

Zuoyebangは米国時間2020年6月29日、投資家がアジアの急成長中のEdTech市場への信頼と注目を示す中、新たな資金調達ラウンドで7億5000万ドル(約800億円)を調達したと発表しました。米投資会社のTiger Globalと香港のプライベートエクイティ会社のFountainVest Partnersが、創業6年のZuoyebangのシリーズE投資ラウンドを主導しました。このラウンドには、ソフトバンク・ビジョン・ファンド、Sequoia Capital China、Xiang He Capital、Qatar Investment Authorityなどの既存の投資家も参加し、これまでの同社の資金調達額は13億3000万ドル(約1400億円)となりました。

アプリについて

Zuoyebangのアプリは幼稚園から12年生までの生徒たちを対象としており、オンラインコースを提供してライブレッスンを実施し、学生が問題の写真を撮ってアプリにアップロードし、解答を得ることもできます。Zuoyebangは質問と解答を識別するために人工知能を利用しているといいます。ZuoyebangがAIアルゴリズムを最適化し、本、手書き、画面の写真の認識率を大幅に向上させたと述べました。大規模な並列化GPUコンピューティングクラスターのおかげで、Zuoyebangは200ミリ秒以内に検索を完了することができます。さらに、3億を超える質問のライブラリーで、1分当たり100万回の検索を完了し、97%を超える正解率で段階的な説明を提供することができます。

学習をよりインタラクティブで個別化するために、1-Nの大規模クラス、6人の学生のグループ向けのインタラクティブなクラス、1対1のクラス後個別指導など、さまざまな授業形態をとっています。

孫正義氏の視点

 前述のとおり「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の一つに選出されたZuoyebangですが、孫正義氏が投資の意向を示したのはどのような背景があるのでしょうか?具体的に見ていきましょう。

Zuoyebangが手がけるオンライン学習指導サービスでは、生徒が問題をスマホのカメラで撮影すると、早急に答えを解く手順を教えてくれます。孫正義氏は同サービスについて、「先生は『宿題を出しても、うちの学生・生徒は答えが全員正解で返ってくるならば、宿題を出す意味がないじゃないか』と思いがちです。ですが、そんなことはありません」と強調します。同サービスはただ答えを教えるわけではなく、続々と類似問題を出すため、学生・生徒は類似問題を解ける能力が身につくということです。

実際、Zuoyebangを活用する中国の生徒の試験成績に目を向けると、100点満点のテストにおいて、全体の26%もの生徒が40点以上改善、38%もの生徒が30点〜40点改善したといったデータも存在します。孫正義氏はこのような状況を踏まえ、「日本の学生も負けていられません。先生方もどんどんAIを使って、日本の生徒たちをもっと賢くしていくべきだと思います」と語りました。

調査会社のiResearchによると、中国のオンライン教育市場は2年後には810億ドル(約8兆7000億円)規模になる可能性があるといいます。今後新型コロナウイルスの蔓延によりリモートによる学習というものへの需要が増えるにつれて、リモートテクノロジーの重要性も高まっていきます。「質の高い教育をすべての人が利用できるようにする」というZuoyebangの目標はこうした世界の現状を反映しているといえるでしょう。今後のさらなる成長に注目していきたいところです。

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