XAG

企業・サービス概要

農業用ドローン開発大手「XAG(極飛科技)」。XAGはアグリテックに特化した中国でも数少ない企業で、「無人農場」に関わる製品ラインナップの拡大に成功しています。同社はこれまでの成長過程において3つの段階を経てきました。

2007年から2012年まで

2007年から2012年までは製品の模索と開発の段階でした。当時のドローン市場では空撮、農薬などの空中散布や物資の投下、ドローンショーという3つの活用シーンが注目を集めていました。同社はチームの背景や強みを考慮して、空中散布の分野に方向性を定めます。

2013年から 2019年 まで

2013年からは農業生産分野へのアプローチを開始します。中国は世界の10%にも満たない国土で世界人口の20%を養っていますが、近年は農業従事者の減少と高齢化が深刻化しているため農業生産の効率化が喫緊の課題となっています。

2019年以降

2019年以降は、農業生産の効率を高めるため農業用ドローン、リモートセンシング用ドローン、農業用無人車両、自動運転アシスト農機、農業用IoT、スマート農場管理ソフトをリリースし、農業生産の全サイクルをカバーする製品ラインを整えました。高度に標準化されたソフト・ハード一体型のソリューションにより、これまで872万戸の農家がXAGのサービスを利用しており、農地面積にして6億ムー(約4000万ヘクタール)、42の国や地域で実際に活用されてきました。

農業用ドローン開発大手「XAG(極飛科技)」は、新たに12億元(約190億円)を調達したことを明らかにしました。出資を主導したのは「百度資本(Baidu Capital)」とソフトバンク・ビジョン・ファンド2で、ほかに「創新工場(Sinovation Ventures)」「越秀産業基金(Yuexiu Industry Investment Fund)」「広州新興産業発展基金(Guangzhou Xinxing Industry Development Fund)」、既存株主の「成為資本(Chengwei Capital)」が出資に加わった。「華興資本(China Renaissance)」が単独で財務顧問を務めました。

今回、中国のアグリテック企業が調達した金額としては最高額を記録しました。XAGの彭斌CEOによれば、現在の目標は無人化された農業エコシステムを構築し、より効率的な生産方法で労働力不足や高齢化問題を解決していくことだといいます。今後は研究開発や製造面の強化、販路開拓の強化、デジタル農業インフラの建設推進、スマート農業設備のさらなる開発、「無人農場」の建設に注力していくとのことです。

AI分野におけるポイント

中国のドローンメーカー「極飛科技(XAG、旧XAIRCRAFT)」は昨年末、「2020スマート農業技術大会(SAC)」を主催し、同社開発の最新製品として、農業用無人車と自動操縦装置、スマート農業システムを発表しました。技術革新を通じて、機械による労働代替とAI(人工知能)による経験代替を進めることで、農業における生産性の向上をめざす狙いだ。

同社は今、大きな転換点を迎えています。施肥や播種といった部分的なプロセスから栽培管理全体のプロセスへ、スマートハードウェアからデジタル農業向けプラットフォームへ、農業用無人航空機(UAV)の実用化から農業全体のスマート化促進へという転換です。主力製品の高度化がその転換を促進する上でカギとなります。今回、同社が発表した最新製品は次の通りです。

農業用無人車

あらゆる地形に対応した自動作業やセンチメートルレベルでの高精度ナビゲーション、ミクロンレベルでの農薬散布量の調整が可能といった技術的優位性を持つ。従来製品の数倍もの高い耐久性を備え、長い航続距離を実現、かつランニングコストを抑え、より安全に走行できるようになった。また、同社製の噴霧器「JetSprayer™」や農業用IoTシステム「XIoT™」などのスマート農業デバイスを搭載できる。果樹の栽培管理、圃場の除草やパトロール、農業用物資の搬送など農作業向けサービスを提供するもので、スマート農業の発展に向け、新たな需要に応えていく。農業用無人航空機(UAV)と農業用無人車という上空と地上との連携により、栽培管理のプロセスで無人化を進めている。

自動操縦装置

同社が構築した農業用高精度ナビゲーション・ネットワークをベースに自動制御技術を加味し、従来のトラクターやコンバインなど中・大型農業機械の精度を向上。搭載システムをオープン化するとともに、整地や耕起、播種などの農業機械の自動制御を実現した。指示された農作業を正確に行い、作業記録を同社のスマート農業システムに送りリアルタイムで同期することが可能だ。

スマート農業システム

同社は昨年、圃場の生産管理や運営管理、設備管理、人材管理を一体化したスマート農業システムを開発した。システムのベースとなるのは同社製の無人航空機クラウドシステム「極飛雲」で、1日当たり8000万件にも上る大量のデータの収集や学習、評価を行い、それをもとにディープラーニングと継続的な最適化を進められる。このシステムは、作物の生育に関する重要指標に合わせて生産計画と農作業を正確に管理し、管理効率を高めると同時に生産量と品質の最適なバランスを追求して、生産性と収益性の最大化を実現するものだ。

同社が提供したデータによると、昨年9月20日時点で、世界で使用される同社製の無人航空機は4万2000機以上に上り、3億ムー(約2000万ヘクタール)以上の圃場、637万戸以上の農家にサービスを提供している。

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