ノーコードAIとは

近年ますますAIが私たちの生活において重要な存在となっていることは明白ですが、AIを開発できるのはエンジニアだけだと思っている方は多いのではないでしょうか。実は現在、“ノーコードAI”と呼ばれる技術が注目されており、AIを開発するためのプログラミング知識を持っていなくてもAIを開発することができるのです。今回、この記事ではこうした非エンジニアの方々にとって魅力的な“ノーコードAI”について活用事例を挙げながら説明します。ぜひご覧ください。

*AIについて詳しく知りたい方は、↓の参考記事をご参照ください。

目次

1. ノーコードとは
1-1 概要
1-2 ノーコードとローコードの違い

2. AIの民主化を促す”ノーコードAI”について
2-1 概要
2-2 メリット
2-3 デメリット

3. ノーコードAIの活用事例3選

4. まとめ

1. ノーコードとは

1-1 概要

まず、JavaScriptやPython、C言語などのプログラミング言語によって特定の処理を実行するよう記述された文字列を”ソースコード”といいます。Webサイト開設やアプリ開発、その他ソフトウェアの開発には全てこのソースコードを記述することが必須でしたが、”ノーコード(No Code)”では文字のごとくコードを記述せずとも各種ソフトウェア開発を行うことができます。実際の開発方法としては、ノーコード開発ツールを用いて予め記述されたソースコードの集まりをパズルのように組み合わせることで開発することができます。

1-2 ノーコードとローコードの違い

上記で説明したノーコードは、ソースコードを一切記述する必要がないことからプログラミング知識を持たない人でもソフトウェア開発ができるというメリットがある一方で、予め用意されたソースコードの組み合わせでしか表現することができないため拡張性が乏しいというデメリットもあります。そこで”ローコード(Low Code)”と言われる、文字のごとく記述するソースコードを極力少なくした技術も併せて注目されています。ノーコードとローコードとの違いは、ソースコードを一切記述しないか、少しだけ記述するかになります。ローコードはプログラミング知識を必要としますが、予め用意されたソースコードを効率的に使える他、自らソースコードを記述することができるため拡張性が高いといったメリットが挙げられます。

2. AIの民主化を促す”ノーコードAI”について

2-1 概要

先述したように、ノーコード技術によってプログラミング知識を持たない人でもソフトウェア開発を行えることが分かりました。では、AIを開発する上でもノーコード技術は使えるのでしょうか。結論から言うと、もちろん使えます。というのも、AIを開発する上でもプログラミングは必須であり、PythonやR言語、Javaなどの各種プログラミング言語を用いることで回帰分析や画像認識、音声認識といったAIアルゴリズムを開発することができます。もちろん、Webサイトやアプリなどのソフトウェアをノーコードで開発することは多大な恩恵を受けることができますが、それ以上に需要予測や画像認識などの高度で人的資源を大幅に削減する技術をノーコードで開発できることの恩恵は計り知れません

2-2 メリット

ノーコードでAIを開発できることの最大のメリットとしては高度なプログラミング知識を持たずとも、ノーコード開発プラットフォームに従えば基本的には誰でもAIを開発することができるということが挙げられます。例えば、ある大量のデータを分析してその出力結果を求める作業をAIで行いたいと考えても、そもそも社内にAIを開発できるエンジニアがいなかったり、社外のエンジニアに委託しようとしても費用が高かったりと、AI導入までの敷居が高いことから断念せざるを得ない企業も多いのではないでしょうか。そこでノーコードAI開発プラットフォームを使うことで、社内でエンジニアを育成する必要も、高い費用を払って社外からエンジニアを採用する必要もなくAIを活用することができます。その結果、従来よりも遥かに業務効率の改善を見込める他、より高度な分析を行うことができるのです。

2-3 デメリット

以上で説明したように、ノーコードAI開発プラットフォームはAIを導入したくてもできなかった企業に多大な恩恵をもたらすことが予想されますが一方でデメリットも存在します。例えばノーコードAI開発プラットフォームでは、予め決められたソースコードしか使用することができないため、必然的にAI開発プラットフォームの枠組みでしか開発することができません。こうした拡張性の低さから独自のAIシステムを構築できないといったことも併せて挙げられます。

3. ノーコードAIの活用事例3選

次に、ノーコードAIの具体的な活用事例3選をご紹介します。

 ⑴コニカミノルタジャパンによるAI需要予測サービス

2021年8月19日、コニカミノルタジャパンは小売店向けのノーコードAIプラットフォーム『AIsee』の発売を発表しました。このプラットフォームでは、高度なプログラミング知識がなくてもPOS等の販売データをアップロードするだけで、AIによる在庫予測モデル、販売予測モデル、来場者予測モデルを利用することができるといいます。

⑵岡山大学発AIベンチャー企業TechSwordによる画像認識AI

2021年12月2日、岡山大学発のAIベンチャー企業『TechSword』は企業数を限定して、ノーコードAI開発プラットフォーム「TechSword Platfrom」β版のトライアル提供を開始しました。このプラットフォームを使えば、高度なプログラミング知識がなくても直感的な操作のみで独自の画像認識AIを開発できるといいます。

⑶日立ソリューションズによる面談支援AIサービス

2021年12月27日、日立ソリューションズは熟練面談者のノウハウをノーコードでAIモデル化をして面談のサポートをする「面談支援AIサービス」をクラウド型で2022年1月15日より提供することを発表しました。このサービスでは、ノーコードで熟練面談者のノウハウを学習した画像認識・音声認識AIモデルを構築することができるといいます。

まとめ

ここまで説明したように、ノーコードAI開発プラットフォームは拡張性が少ないというデメリットを持ちつつも、それ以上に、AIを活用したくてもできない中小企業などにAI開発の恩恵がもたらされることは間違いありません。今現在多くの企業で使われているExcelやWordなどの業務効率化ツールですが、今後はこうしたノーコードAI開発プラットフォームが普及し、企業にとって当たり前の存在になることが予想されます。