IoT AITech最前線

エッジコンピューティングとは、これまでクラウドにあるサーバー側で行っていた処理を、ユーザーにや端末側で分散して処理を行う技術のことを言います。

実はこのエッジコンピューティング、クラウド全盛の時代になぜ端末側で処理を行うのか、逆行するのではないか、と思うかもしれませんが、マイクロソフトCEOのナデラ氏は、2019年に「コンピューティングの未来はエッジにある」と話しました。以前はクラウド特にクラウドプラットフォームのAzureに全てをシフトすると話していた、彼がそれを否定するとも思える発言です。しかしこの意味は、未来のインターネットの環境を指し示す、とても意義あることだと思います。
それは、これがなぜ注目されているかと言うと、AIやIoTの分野ではとても相性が良いためです。
AIが広まれば広まるほど、エッジ(ユーザーや端末側)で処理することが、重要になってくるのです。

 

ではまず、クラウドコンピューティングにおいて、なぜAIでは問題があるのか、から見ていきましょう。

これは、スマホのみならず、スマートスピーカー、ウオッチ、IoT家電、自動車、スマートシティなど、様々なAI機能を搭載していった場合に想定される課題です。

 

たしかに今のスマホの何倍もの機器を一人が持つことになると考えると、中央集権型のクラウドコンピューティングでは、インターネット上に情報があふれかえることが目に見えてきます。

そのため考えられたのが、エッジコンピューティングによる、処理や権限のエッジ側への移譲です

 

 

これができるようになったのも、スマホやIoT家電、自動車などに搭載されるコンピューター、特にCPUに変わってGPUなど高性能なチップなどの登場などハードウェア性能が上がってきたことという大きな背景があります。

これにより、リアルタイム性が求められるような判定処理はエッジ側で行い、機械学習や分析といったリアルタイム性の必要のない処理はクラウド側で行うようにし、分担をすることで効率の良い動作をできるようになります。
例えば、自動車の場合、自動運転などは判定処理をクラウド側で行っていては、急な環境変化による衝突回避など危険そのものです。生体認証においてもそうですね。現場で長く待っていることはできないでしょう。

そう考えると、たしかに理にかなった方法と言えます。改めてエッジコンピューティングによるメリットをまとめると以下のようになります。

 

ナデラ氏が話していたことは、AIの時代において、クラウドなのか、エッジなのか、という議論ではなく、クラウドとエッジの共存、特にさらなるエッジ側の進化がこれからは求められてくることだ、というメッセージであると受け止めています。

AIは4層の構造からなった技術の総称だと以前お話しましたが、AIとエッジコンピューティングの関係は、まさに第1階層であるハードウェア部分と密接な関係であることを思い返させてくれる内容だと思います。すべての階層で進化があって初めて、AI技術全体の成長につながってきます。

 

 

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