目次:
- 導入
- Grokシリーズとは
- Grok3の特徴
- 利用方法・料金体制
- 今後の展望
1.導入
イーロン・マスク氏率いるxAIは2025年2月17日(米国時間)、xAIの独自LLM(大規模言語モデル)であるGrokシリーズの最新モデルにあたるGrok3を発表しました。
マスク氏はこのモデルを「地球上で最も賢いAI」と評し、GPT-4などの先端モデルを大きく上回る性能を持っていると強調しました。
この記事ではxAIの新しいモデル、Grok3について詳しく解説します。
2.Grokシリーズとは
まずはxAIのGrokシリーズの特徴について解説します。
GrokシリーズとはxAIが開発したLLMモデルで、現在まで初代Grok、1,1.5、2,3が発表されています。
やはり最大の特徴はWebのデータに加えてX(旧Twitter)に投稿されている情報を学習していることでしょう。
これにより他のモデルより最新情報や最新トレンド分析に優れています。
しかしそれゆえのモデレーションの緩さはデメリットかもしれません。Grok2は回答が左寄りであるとの指摘も見受けられます。Grok3では改善したとマスク氏は主張していますが真相はさだかではありません。
3.Grok3の特徴
今回発表されたGrok3がGrok2から進化した点はいくつかあります。
- マルチモーダル処理
Grok2では画像生成のみだったマルチモーダル処理がGrok3は画像、音声の入出力のすべてに対応可能になりました。
- 推論能力の強化
Grok3はまず学習に使用されたGPUの規模が違います。Grok2が10万、GPT-4が数万GPU規模といわれているところをGrok3は20万もの規模のGPUで学習しています。
また、Grok3には「Think」、「Big Brain」という二つの機能が搭載されており、「Think」ではより多くのステップを経て深く考えて回答をだします。また「Big Brain」では通常モードより多くの計算資源を投入します。これらにより推論能力を測るテストではo3-mini-highやDeepseek R1などの先端モデルよりも高い点数を取っています。
Thinkモードを使わない場合でもGPT-4oやGemini2.0 Proなどのモデルを上回るパフォーマンスを発揮しています。
さらに匿名でテストしたモデルに投票を行うChatbot Arenaの評価でもChat GPT やその他のモデルを上回る評価を受けています。
- Deep Search機能の搭載
Chat GPT 、Gemini、PerplexityのDeepresearchのように、Grok3には独自のシステムによる高度な検索機能が搭載されています。
具体的には、多数の情報源を比較・検証し、情報源の信頼性を評価します。その後、信頼性評価の高い情報だけをフィルタリングして回答を生成しています。
4.利用方法、料金体制
まだGrok3が発表されて間もないのでモデルが公開されているのはX Premium+会員、またはSuperGrokプラン会員のみで、だれでも利用できるわけではありません。
これらの料金体制は以下のようになっています。Grok3の登場によってX Premiumはかなり大きく値上げしました。
・X Premium+:
月額:40ドル(約82%値上げ)
年間:395ドル(約32%値上げ)
Grok3の全機能が利用可能(一部制限あり)
・SuperGrokプラン:
月額:30ドル
X Premium+よりもDeepSearchやThinkモードの使用制限が緩和
このようにSuperGrokはGrokの使用に特化したプランになっており、X Premium+はXの機能すべてが拡張されるという違いがあります。
現状Grok3を利用するにはこれらに登録するしかありませんが、Grok2のようにしばらくたてば無料ユーザーにも公開されるでしょう。
5.今後の展望
Grok3は現在β版であり、完全な状態ではありません。xAIは今後音声による対話機能など随時追加し、数週間で安定させるとのことです。
通常このレベルの大規模言語モデルの開発には数年かかるといわれていますが、xAIはGrok3を開発し始めてからわずか一年程度で公開までこぎつけました。この開発速度は超大規模なGPU使用によるものですが、これは今後の開発でもアドバンテージとなるでしょう。
ベンチマークなどの評価を見る限りGrok3は現状「地球上で最も賢いAI」になりますが、今後さらにLLM開発競争は激化していくと考えられます。xAI今後もその先頭に立つと思われます。
参考文献:
https://shift-ai.co.jp/blog/16730/
https://news.mynavi.jp/article/20250219-3131627/
https://ainformation.jp/article/5113