Gensparkとは?無料AIプラットフォームのDeepresearch、画像生成AIを徹底解説

近年、生成AI、特にLLM(大規模言語モデル)が急速に普及しており、ChatGPT、Gemini、Claude、DeepSeekなど、多くの企業がしのぎを削っています。 このAIブームの中で、「どのAIを使えばいいのだろう?」と悩む方は少なくないでしょう。また、有名なChatGPTを使い続けている方も多いのではないでしょうか。

もし、ChatGPTだけでなく、GeminiやClaudeも、様々なAIをまとめて利用できるサービスがあれば便利だと思いませんか?

今回は、そのようなニーズに応える「Genspark」をご紹介します。Gensparkは、多くのAIモデルを統合し、無料で利用可能なプラットフォームです。ディープリサーチ、画像生成、検索など、多様な機能を搭載しており、AIの実用性を最大限に引き出すツールです。リサーチ、画像生成、チャットなどが可能な万能AI「Genspark」について多機能性と実用性のかあん点から解説していきます。

 

目次

本記事では、Gensparkの豊富な機能について、実際に使用した感想を中心に解説していきます。

  1. Gensparkの基本機能と特徴
  2. AI検索・チャット機能など各機能の使用例とレビュー
  3. Gensparkの料金プランとコストパフォーマンス
  4. まとめ:Gensparkはどんな人におすすめ?

 

Gensparkの機能

Gensparkは、これらの機能を無料で試せるだけでなく、月額25ドルで無制限に利用できます。

主な機能:

  • AI検索○: Perplexity, Felo
  • チャットボット○: DeepSeek, ChatGPT, Gemini, Claude
  • エージェント○: Deepresearch(専門調査), ファクトチェック, データ検索, 翻訳
  • 特殊機能:
    • ファイナンスAI分析△
    • 旅行AIプランナー△
    • 製品AI検索△
    • ファッションAI試着(バーチャル試着)△
  • 画像生成: DALL-E, Imagen 3○

 

各機能紹介:

1.AI検索の比較:Genspark、Felo、Perplexity

Gensparkは、元々FeloやPerplexityといった検索AIの一種でした。しかし、Gensparkの特徴は、FeloやPerplexityのように「最新のAI記事を教えて」と指示すれば簡単に情報を収集してまとめてくれるのとは異なり、時間をかけて徹底的に情報を収集し、ファクトチェックを行った上でアウトプットを行う点にあります。

これは、速度を重視するあまり正確性が低下しがちなFeloやPerplexityとは対照的です。Gensparkは、速度を犠牲にする代わりに、情報の正確性と質を向上させることに重点を置いています。

AI検索で「Googleが発表したビッグニュースを一つ選択してまとめてください」と質問した結果、Gensparkは2025年以降のGoogleの投資計画について詳細な解説を行いました。一方、FeloとPerplexityはGemini 2.0に関する情報をまとめました。Feloの方が若干処理速度は速かったものの、Perplexityの方がより具体的な説明で質が高いという結果でした。

メリット:

  • 情報の正確性と質が高い
  • SparkPageによる独自の記事コンテンツ作成機能

デメリット:

  • 処理速度が遅い

プレゼンテーション資料を作成したい場合はFelo、エージェント機能を活用したい場合はPerplexity、記事作成などを行う場合はGensparkを選ぶのが良いでしょう。Gensparkは、特に情報の正確性を重視するユーザーにおすすめです。

 

2.チャット機能のレビュー:Genspark (MoA)

Gensparkは、MoA(Mixture of Agents)と呼ばれる独自のチャット機能を搭載しています。MoAは、Gensparkが最適なAIモデルを自動で選択し、チャットボ

トのように利用できる機能です。従来、有料(月額3000円程度)だったo1モデルやClaude 3.5 Sonnet、Gemini 2.0 Flashといった高性能モデルも、Gensparkを通じて好みに合わせて使い分けることができます。さらに、専門的な技術情報の質問にはClaude 3.5 Sonnetを選択し、日常会話にはGeminiを利用する、といったように、用途に応じたモデル選択をAIが自動で行います。

Gensparkの大きな魅力は、ファイル機能とウェブ検索機能が充実している点です。ChatGPTではo1に画像ファイルしか読み込ませることができませんでしたが、Gensparkでは画像ファイルだけでなく、Wordファイルなどの様々な形式のファイルを読み込ませ、さらにウェブ検索まで実行できます。これにより、Geminiなど複数のAIツールを個別に契約・使用しなくても、Gensparkから様々なモデルの機能を活用できます。

ただし、ArtifactsやCanvasのような特定の機能は搭載されていないため、注意が必要です。

 

 

3.エージェント機能:Deepresearchのレビュー

次に、GensparkならではのエージェントのDeepresearch機能について解説していきます。

GensparkのDeepresearchは、従来のChatGPTのDeepresearchとは異なり、GPT-4oやClaude 3.5 Sonnetなど、様々なAIモデルを組み合わせて活用し、方向性を決定しながらリサーチを実行します。ChatGPTのDeepresearchは、月額3万円のProプランで利用できる業界最高峰のo3モデルを活用しているため、その性能は非常に優れています。しかし、それが無料で利用できるGensparkのDeepresearchも魅力的な選択肢と言えるでしょう。

「allai.jp、Tokkyo.ai、IDX孔明について詳細なレポートを作成してください」と指示したところ、152の情報源を調査し、約20分でレポートが完成しました。

検索結果の例:

https://www.genspark.ai/spark?id=c8547bae-cfb2-4809-b6ca-bfa545d592ef

Tokkyo.aiについては、「市場での位置づけとして、Tokkyo.aiは企業の知財戦略を支援するためのAIツールを提供しています。特許調査の履歴を社外に出さず、専用のプライベート環境で特許の生成・検索・分析を行うことができるツール」と、要点を的確に捉えています。また、IDX孔明については「IDX孔明は、企業データと知財を融合させたプラットフォームを提供しています。このプラットフォームは、企業のデータを戦略的に活用することを目的としており、データと知財の統合を通じて業務効率と知財戦略を大幅に向上させることができます。」と、同様に要点をまとめています。

メリット:

  • 多様な情報源から情報を収集できる
  • 無料で利用できる

デメリット:

  • 詳細な数値データの内容は弱い
  • レポート生成に時間がかかる
  • OpenAIのDeepresearchと比較して性能が劣る可能性

現時点では、GensparkのDeepresearchの実用性は限定的かもしれませんが、無料で利用できる情報収集ツールとして一定の価値があります。また、プロンプトを改善し、実行させたい内容を明確に絞り込むことで、その性能を最大限に引き出せる可能性があります。

 4.エージェント機能:ファクトチェックとデータ検索のレビュー

次に、Gensparkのエージェント機能の中から、ファクトチェックとデータ検索について解説していきます。

ファクトチェック:

AIが出力した文章には、ハルシネーション(虚偽情報)が含まれていることが少なくありません。DeepresearchでAIが情報収集し、レポートを作成してくれたとしても、その中に誤った情報が含まれていたら意味がありません。そこで役立つのが、Gensparkのファクトチェック機能です。これは、他のAIツールにはない独自の機能です。

ファクトチェック機能は、AIが生成した文章の正確性を検証し、ハルシネーションを検出するのに役立ちます。Deepresearchなどの機能と組み合わせることで、より信頼性の高い情報を得ることができます。

データ検索:

Gensparkにはデータ検索というエージェント機能も搭載されています。これは、特定のデータに特化したレポートを作成するエージェントです。Deepresearchはニュース記事や論文などを幅広く調査し、情報をまとめる機能ですが、データ検索では「今年の富士山の登山者数」といった具体的な数値を、Google検索などの特定の検索エンジンを指定して、より詳細にフィルタリングした状態で調べることができます。競合分析など、数値を重視する調査を行う際に便利です。Gensparkのファクトチェックとデータ検索は、AIが生成した情報の信頼性を高め、特定のデータに特化した情報収集を行う際に役立つ機能です。

データ検索の例:

https://www.genspark.ai/agents?id=40611504-4736-4c24-8ac0-179b562df418

 

5.エージェント機能:翻訳エージェントのレビュー

Gensparkには、翻訳エージェントも搭載されています。

この翻訳エージェントはDeepLと同様に、言語を自動で検出し、指定した言語に翻訳することができます。DeepLやGoogle Translateには文字数制限がありますが、Gensparkではその制限が大幅に緩和されており、大量の文字数でも翻訳が可能です。

実際に、アラビア語の諺「طب الجرة على ثمها بتطلع البنت لأمها」を翻訳してみました。この諺は、「ツボをひっくり返せば、娘は母親のようになる」という意味で、「娘はどうあがいても母親に似る」ことを表しています。

各翻訳サービスの結果は以下の通りです。

  • DeepL: 「瓶が開けられ、娘は母親を見る。」
  • Google Translate: 「口についた瓶の薬は少女を母親に似せる」
  • Genspark (MoA): 「母に似た娘 [アラビア語の元の比喩: 壺の口をひっくり返すと、娘は母親に似てくる]」

GensparkのMoAは、直訳だけでなく、比喩の意味まで理解していることが分かります。ClaudeなどのLLMは、ことわざの意味を理解できる反面、正確な翻訳が難しい場合があります。一方、DeepLはルールベースであるため、比喩を理解することが苦手で直訳になりがちですが、その分精度が高いという特徴があります。MoAは、これらの翻訳エンジンの長所を組み合わせることで、比喩表現と正確な翻訳の両立を実現し、高精度な翻訳を可能にしています。Gensparkの翻訳エージェントは、文字数制限を気にせずに大量の文章を

翻訳したい場合や、比喩表現を含む文章を翻訳したい場合に役立つでしょう。

 

6.ファイナンスAI分析のレビュー

次に、Gensparkの追加機能の中から、ファイナンスAI分析について解説します。ファイナンスAI分析は、株価などを調査する際に役立ち、株価や決算データを見やすい形で可視化してくれる機能です。高度な分析を期待するユーザーには物足りないかもしれませんが、手軽にファイナンスデータを確認したいユーザーにはおすすめです。

利用例:

https://www.genspark.ai/finance

メリット:

  • 株価や決算データを手軽に確認できる
  • データが視覚的に分かりやすい

デメリット:

  • 高度な分析機能(傾向分析、予測など)は搭載されていない
  • AIによるリアルタイムな分析ではない

 

7.旅行AIプランナーのレビュー

次に、Gensparkの追加機能である旅行AIプランナーについて説明していきます。これは、AIがおすすめの旅行計画を提案してくれる機能です。Gensparkの旅行AIプランナーは、現状では実用性が低いと言わざるを得ません。プランの精度が低く、日本の地方都市への旅行プランには対応していない可能性が高いです。

検証:

実際に「日本の中国地方への5日間の旅行プランを考えてください」と指示したところ、中国(China)への旅行プランが提案されました。

提案されたプラン:

https://www.genspark.ai/spark?id=b326db71-7821-3f49-8236-3975730e80b5

メリット:

  • 手軽に旅行プランのアイデアを得られる

デメリット:

  • 提案されるプランの精度が低い
  • 日本の地方都市への旅行プランには対応していない可能性が高い
  • AIがプランをゼロから作成しているわけではない

海外旅行のプラン作成にはある程度有用ですが、日本国内の細かい地域指定には対応していない点が課題です。

 

 

8.製品AI検索のレビュー

続いて、Gensparkの追加機能である製品AI検索について説明します。

製品AI検索は、例えば「高性能な防水機能を持つスマートウォッチを調べてきてください」と指示すると、その条件に合致するスマートウォッチを検索してくれます。さらに、GPS機能搭載モデルなど、追加の条件を指定することも可能です。

Gensparkの製品AI検索は、自然言語の条件検索を活用して効率的に製品情報を収集したい場合に役立つ機能です。しかし、検索精度や情報源の偏りには注意が必要です。

同様に、ファッションAI試着では、自分の写真をアップロードすることで、AIが様々な洋服をバーチャルで試着させてくれるという革新的なサービスが提供されています。

しかし、今回は回数制限のため、詳細な検証は次回に持ち越したいと思います。来週、改めてファッションAI試着について詳しくご紹介する予定ですので、ぜひご期待ください。

 

9.画像生成AIのレビュー:Genspark

Gensparkの画像生成AIは特におすすめです。ChatGPTのDALL-Eを利用している方も多いと思いますが、DALL-Eはややスピリチュアルな雰囲気の画像生成に偏りがちで、必ずしもクオリティが高いとは言えません。

Gensparkでは、現在主流となっている様々な画像生成モデルを活用することができます。人物、動物、自然など、得意分野が異なる様々なモデルを、個別にサブスクリプション契約しなくても、Gensparkひとつで利用できるのが大きなメリットです。

メリット:

  • 多様な画像生成モデルを利用できる
  • 個別にサブスクリプション契約する必要がない

デメリット:

  • 生成された画像に透かし文字 (ウォーターマーク) が入る

Gensparkの画像生成AIは、多様なモデルを手軽に試せる点が魅力です。透かし文字が入るというデメリットはありますが、クオリティが高く、無料で利用できる点を考慮すれば、十分に価値のある機能と言えるでしょう。

 

料金プラン

 Gensparkの多くの機能を無料で利用できますが、無料版には利用回数に制限があります。すべての機能を無制限に利用したい場合は、月額25ドルの有料プランにアップグレードする必要があります。

 

まとめ:Gensparkは多機能だが、万人向けではない?

上記のように、Gensparkはチャット、検索、画像生成、ファクトチェック、Deepresearch、データ検索、製品AIなど、多岐にわたる機能を備えています。これらの機能を単一のプラットフォームから利用できるのは大きな魅力と言えるでしょう。さらに、Gensparkからo1モデル、Gemini、Anthropic、DeepSeekなどの高性能モデルを無料で利用できる点も特徴です。そのため、ChatGPTやClaudeなどの有料プランに加入していない場合でも、Gensparkを活用することで最新モデルにアクセスできるというメリットがあります。

Gensparkは以下のような人に向いています。

  • 無料で多くのユニークなAI機能を試したい人
  • ファクトチックなど正確な情報を重視するリサーチャー
  • 無料で最新AIモデルを試したい人

今回、記事作成のためにGensparkを詳細に検証しましたが、無料版には利用制限がある点には注意が必要です。また、検索の質は高いものの、UI(ユーザーインターフェース)は直感的とは言えず、豊富な機能を使いこなすには学習コストがかかるでしょう。そのため、AI初心者の方や、シンプルなツールを求める方には、ChatGPTのような使いやすいツールから始めるのがおすすめです。

しかし、Genspark独自の機能であるファクトチェックやデータ検索は、他のツールでは体験できない貴重な機能です。AIに関する知識を深めたい方や、特定の情報を深く掘り下げたい方には、ぜひ活用してみてください。また、画像生成についても、GensparkはChatGPTよりも高精度の画像を出力できる可能性があります。無料でハイクオリティな画像を生成したい方にはおすすめです (自動プロンプト機能により、AIが最適なプロンプトを提案してくれます)。

Gensparkの機能性とそれぞれの実用性をまとめた表を以下に掲載しますので、ぜひ参考にしてください。

MoA(Mixture of Agents)技術を活用した企業向けAIソリューションは、AI孔明でも提供されています。これは、複数のAIモデルを組み合わせ、企業の課題やニーズに応じて最適なAIを自動選択・実行する仕組みです。

GensparkはAPIを活用する一方で、企業データ入力時にデータが学習・利用される可能性があります。 これに対し、AI孔明は企業データを学習せず、高速処理を実現するMoA型AI です。

企業の課題に最適なAIを選択したいが、どのAIが適しているかわからない」という方は、ぜひAI孔明のデモをご覧ください。

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参考文献

Gensparkはこちら:https://www.genspark.ai/