Coupang
”韓国のAmazon”ことCoupang―孫正義氏が出資するEC企業

この記事では、“韓国のAmazon”と呼ばれているEC企業Coupangとはどのような企業か、そしてソフトバンクの孫正義氏がなぜ出資を決めたのかについてご説明します。是非ご覧ください。

Coupangの企業概要

初めに、 Coupangの企業概要をご紹介します。

◇2010年に設立された韓国のeコマース(電子商取引)企業
◇韓国最大のオンライン小売業者であり、年間収益は40億ドルを超える
◇食料品、日用品、ファッション、コスメ、家電、ベビー用品、家具を取り扱っている
◇競合他社との差別化を図るCoupang独自のサービス
・Rocket Delivery:注文した商品が当日または翌日に届くシステムで、約1億2000万種類以上の商品のうち自社配送である約400万種類の商品が対象
・Rocket Pay:ワンタッチ決済などの便利なショッピング機能を備えた決済サービス
・Rocket Fresh:有料会員向けに提供する生鮮食品早朝配送サービス
◇2015年にソフトバンクより10億ドルの出資を受ける
◇2018年にはソフトバンク・ビジョン・ファンドから追加で20億ドルの出資を受ける
◇2021年3月11日に、ニューヨーク証券取引所に上場

以上が同社の企業概要です。

次は、Coupangがどのような点で優れているかについてご説明します。

Coupangの“ここがスゴイ!!”ところ

(1) 他を寄せ付けないEC分野の売り上げ

韓国の小売のおけるEC化*比率は12%を超えており、その割合は世界で3番目に入るなど、韓国では大小様々なECプレイヤーが市場に入り乱れ混戦状態になっているのが現状です。そのような状況下で、Coupangは価格訴求に重きを置き、ECサイトにおける最安値をたたき出しています。

*EC化:店舗販売から電子商取引(Electronic Commerce)に変わること

その結果、2018年には売上高:約4,000億円を達成し、 成長率は前年比約65%と驚異的な数字を残しました。この売上高は、競合である「G-Market」や「11番街」を差し置いて国内第1位となっています。

⑵ AIを活用した速達配送

Coupangが提供するECサイトでは、注文した商品が当日または翌日に届くシステムになっていますが、これを実現させているのはAIです。

顧客がどのような注文をするのかを事前にAIが予測し、また商品をどのように配送するのか、そして配送する車のどの位置に積み込むのかまでもAIが指定します。さらに、配送経路についてもAIが最適なルートを計算しています。

このように、注文から発送までのすべての工程をAIがガイドすることでRocket Delivery(ロケット配送)を実現しているのです。

⑶ マーケティング戦略

Coupangは、ECサイト開設後、より多くの顧客を獲得するために興味深いマーケティング戦略を実行しました。その戦略とは、新規加入者に対するキャッシュバック制度です。新規加入者に対してサイト内で使えるポイントを配布することで多くの顧客を獲得しました。

現在ではPay Payなどでこのようなキャッシュバック制度が見られますが、当時からすると画期的であったため、これによって国内の認知度を高めることに成功しました。

孫正義がCoupangに出資を行う理由

孫正義氏がなぜCoupangに出資しているのかについて分析しました。

顧客第一精神

Coupangは常に顧客を第一に考えています。同社は即日配送を実施するだけでなく、注文の受付から顧客への配達までを一貫して自社で行っています。こうした対応は企業にとって大きな負担であるにもかかわらずCoupangはこの方針を貫いています。

その背景には、顧客を第一に想う精神があります。顧客を第一に想っているからこそ、顧客の“生”の声を聴き改善に努めるべく注文から配達まで一貫して行っているのです。

創業者のBom Kim氏は、「顧客に感動を与えるため、今後も、技術やインフラに積極的に投資していく」と述べています。

AI活用

Coupangは注文から配達までの全ての工程にAIを取り入れています。以下では、同社におけるAIの活用例についてご紹介します。

・顧客がどのような商品を注文するのかといった需要を事前にAIが予測する。それによって、顧客が注文する前に在庫を確保することができる。

・商品をピックアップするための最適なルートをAIが見つけ従業員に指示する。それによって、従業員の歩く距離を節減し、効率を上げている。

・トラックの中で商品を積み込む位置をAIが指示する。それによって、効率的かつ最大限に荷物を積むことができる。

・配達先までの最適なルートをAIが指示する。それによって、最短経路で素早く顧客のもとに配達することができる。

上記2点から、孫正義氏がCoupangに出資しているのだと分析しました。

allAi.jp では、この他にも様々な企業を紹介していますので、是非ご覧ください。

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