Anthropic社は2024年3月に最新の大規模言語モデル(LLM)である「Claude3」を発表しました。Anthropic社はChatGPTを開発したOpen AIの元幹部が設立したスタートアップ企業です。Claude3には、Haiku、Sonnet、Opusの3つのモデルから構成されており、前代モデルのClaude2からコンテキスト長が2倍の20万トークンに拡大されています。Claude3は大量のトークンが扱えるため、大量のテキストやデータを処理できる点が魅力的です。これから、ChatGPT-4oをはじめとする他のLLMと比較して紹介していきます。
目次
1.Claude3について
2.各モデルの比較
3.性能面-ChatGPTと比較-
4.まとめ
1.Claude3とは?
~Claude3の魅力~
マルチモーダル入力
Claude3はテキストだけでなく、画像、PDF、word文書やCSVファイルを入力し、分析することができます。しかし、GPT-4oなどに搭載されている音声検索や対話、画像生成などの機能はありません。
コンテキスト長
Claude3は20万トークンのコンテキスト長により長い文章や膨大なデータセットの分析が可能です。
多言語対応
スペイン語、日本語、フランス語など英語以外の言語でも高い流暢さを持ちます。しかし、リソースの少ない言語では性能が低下することがあり、言語による性能のばらつきがみられます。
2.モデル構成
Claude3はHaiku、Sonnet、Opusの3つのモデルを展開しています。性能順にOpus、Sonnet、Haikuです。HaikuとSonnetは無料で使用可能で、最上位モデルのOpusは有料サービスClaude Proで月額20$で利用できます。
- Haiku:低価格で高速処理が可能なモデル
- Sonnet : 性能と速度のバランスがとれたモデル
- Opus : 最高の性能を誇る最上位モデル
Opusは推論、コーディング、多言語処理に優れた性能を発揮します。Sonnet は速度と性能のバランスが取れており、Haiku は最速の処理性能を誇ります。SonnetとHaikuも、前代モデルのClaude 2よりも高性能であり、無料で利用することができます。
API利用料金
- Opus: 入力$15、出力$75
- Sonnet: 入力$3、出力$15
- Haiku: 入力$0.25、出力$1.25
Haikuは性能が低いものの高速であり、API利用料金が安価です。
3.ChatGPT-4oとClaudeの比較
無料サービスと有料サービスの違い
2024年5月現在、GPT-3.5とGPT-4oを無料で利用することができます。しかし、GPT-4oは一定の利用制限(入力文字数の上限など)があります。一方、Claude3は、Sonnetと、Haikuを無料で使用することが可能です。
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GPT-3.5
GPT-3.5は画像やファイルを入力し、分析するマルチモーダル入力が対応していません。
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Claude3
SonnetやHaikuではpdfや画像などのマルチモーダル入力の機能があります。また、以下の図からわかるように、SonnetはGemini 1.0 Ultraにも並ぶ性能があり、GPT-3.5の性能を上回っています。
このことから、無料AIサービスの中ではSonnetとHaikuが他のサービスに比べて優れていることがわかります。
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GPT-4oとの比較
GPT-4oはSonnetやHaikuにできない音声入力が可能です。また、性能面でもSonnetやHaikuを上回っています。しかし、GPT-4oの無料利用には一定の利用制限があります。そのため、GPT-4oの利用制限を超えてしまった場合、ClaudeのSonnetを使用するのが良い選択肢となるでしょう。
他社LLMの最上位モデルとの比較
次に、他社LLMの最上位モデルとClaude3 Opusで比較します。まず、GPT-4やGemini 1.0 Ultraと比較すると、Opusは一般常識(MMLU)、数学(MATH)、コードなどすべての項目で高い数値を出しており優れていることがわかります。
そして、GPT-4とOpusのAPI料金を比較してみます。
- Opus: 入力 $15、出力 $75/100万トークン
- GPT-4: 入力 $30、出力 $60/100万トークン
API料金でも性能面でもOpusのほうが優れていることがわかります。
最新モデルであるGPT-4oとOpusの比較
次に、最新モデルであるGPT-4oとOpusを比較します。以下の図よりOpusは読解力(DROP)以外のスコアは下回ってるものの、GPT-4oと匹敵する数値を出しており、同等レベルの性能があります。また、料金はどちらも同じ月額20ドルです。しかし、機能面に大きな違いがあります。
Opusのメリット
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コンテキスト長
Opusは20万トークンと大きなコンテキスト長があるため大きなデータセットやPDFを分析することが可能です。対象にGPT-4oは12万8000トークンです。これにより、Opusは物語や短編小説などの長文解析も得意です。
Opusのデメリット
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画像生成ができない
Claudeは画像生成ができません。それに対し、GPT-4oはDALL-Eによる画像生成が可能です。
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音声入力による対話ができない
GPT-4oは音声入力ができ、応答時間も短いため、リアルタイムの翻訳や対話が可能です。Claude3は音声入力に対応していません。
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ウェブブラウジングができない
GPT-4oと違い、ウェブブラウジングができません。2023年8月の情報から生成しており、最新の情報を基に生成をすることができません。
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多言語対応
Claude3はスペイン語やフランス語、日本語などの英語以外の言語でも高い流暢さをもちますが、低リソース言語の性能は低いです。それに対し、GPT-4oは50以上の言語に対応しています。
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API料金
Opus: 入力 $15、出力 $75/100万トークン
GPT-4o:入力 $5、出力 $15/100万トークン
API料金もGPT-4oのほうが安いです。
以下にChatGPT-4oについて解説しているリンクを載せます。
4.まとめ
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Claude3はPPDFや画像などのマルチモーダル入力ができるLLM
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大きなコンテキスト長を持ち、長文解析が得意
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音声入力やウェブブラウジング、画像生成などの機能がない
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GPT-4oに匹敵する性能を持つがGPT-4oは音声入力など優れた面がある
Claude3は無料版のSonnetやHaikuが性能面、機能面ともに魅力的です。しかし、ウェブブラウジングや音声入力などの機能に関してまだ進化の余地があります。Claude3の次世代モデルも次世代モデルの進化に期待が高まります。以下に、GPT-4oなどLLMに関する最新記事もリンクしていますのでご覧ください。
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