AIが抱える課題とは?具体例を交えてわかりやすく解説

AIの5つの課題とは

ハードの限界

AIは膨大な量のデータを解析するため、高い計算能力が求められます。これまでは、クラウドコンピューティングや並列処理コンピューティングなどを使い、これらの問題を解決してきました。しかし、学習に使われるデータ量は増加の一途をたどっており、アルゴリズムも複雑化しています。近い将来、既存の計算能力を持つコンピュータでは太刀打ちできなくなると言われています。また、データを保存するデータセンターの不足も危惧されています。今後普及が期待される低遅延サービスの実現には、サービス制御を担うデータセンターが近くにある必要がありますが、国内のデータセンターの開発は米中に比べ遅れています。

ヒトの雇用を奪う

AIが人の雇用に与える影響についていくつかの予測があります。オックスフォード大学の研究によると、2030年代半ばまでにアメリカの雇用の47%以上が自動化の脅威にさらされるといい、世界経済フォーラムはAIによって2022年までに7500万人以上の雇用が代替されると予測しています。中でもマッキンゼーのレポートによると、AIは現在の世界の労働力の30%をも奪う可能性があります。この予測を聞いて、多くの人は代替されるのは単純作業ではと考えているのではないでしょうか。しかし、実際には単純作業だけでなく、高度な知的労働もAIに代替されています。米投資銀行のゴールドマンサックスにはかつて600人ものトレーダーがいましたが、トレーディングをAIが行うようになったことにより、2017年にはわずか2人しかいないという報道がありました。このようにAIはいまや単純作業だけでなく複雑な業務をこなすことにより、人間の雇用を奪いつつあるのです。

AIの信頼性

AIが進歩するにつれ、意思決定をも担うようになってきました。しかし、AIの意思決定能力の信頼性に関して問題が発生しています。AIの意思決定プロセスを人間が把握することができないというブラックボックス問題が存在します。例えば、AIによる医療診断システムの場合、仮にAIが治療方法を提示したとしても、その根拠を知ることはできません。また、データに偏りがあったり、汚染されたデータが混入した状態でAIが学習を行うと、差別的なアウトプットを行うAIが生まれるという問題があります。

AIの暴走

最近では家電にもAIが搭載され、日々の生活を便利にしてくれています。一方で、AI家電によるトラブルも起きています。例えば、スマートスピーカーは声で指示を出すだけで様々なことを行ってくれるため、非常に便利な存在ですが、指示がうまく伝わらないことがあります。ただいうことを聞かないだけならばいいのですが、製品によっては意図しない商品をネットショップで注文する事案が発生しています。

技術的課題

AIが抱える技術的問題として破局的忘却(または、破滅的忘却)と呼ばれるものがあります。人間は過去に学んだことを新たな事象にも応用することができますが、AIは一度何かを学習した後に新しいものを学習すると、以前学習したものを忘れてしまいます。これが破局的忘却という問題です。例えば、犬と猫を区別するように学習させたニューラルネットワークに、新たに猿について学習させると、犬と猫のことを忘れ、区別できなくなってしまうのです。原因としては、ニューラルネットワーク(機械学習に用いる数理モデル)は新たな情報が追加されると、過去に学習した情報を保持するパラメータが上書きされるからだと考えられています。

AIの今後

上述した課題の中には、研究者や民間企業だけでは解決できないものがいくつもあります。ゆえに今後、AI開発において国からのサポートやグローバルに協力していく必要性が増していくと考えられます。