【2022年最新】インドの注目AIスタートアップ10選

世界中で激しいAI開発競争が行われています。この競争をリードするのが米国と中国であります。IT大国と名を馳せたインドですが、AI分野でのプレゼンスは低いのが現状です。現にAIブームが巻き起こった2015年〜2016年にかけてインドでは186社ものAIスタートアップが誕生したものの、近年は減少しています。AI競争で後れをとっているインドですが、豊富なIT人材圧倒的な人口とそこから生み出される学習用データを使って急成長する可能性を多分に含む国なのです。インドと同じくAI競争に乗り遅れた日本が学ぶところが多くあるのがインドという国なのです。そこで今回はインド発のAIスタートアップを紹介したいと思います。

*AIについて詳しく知りたい方は、↓の参考記事をご参照ください。

目次

  1. Fractalー企業の意思決定支援
  2. Niki.aiーチャットボット
  3. Qure.aiー医療データ分析
  4. Arya.aiータスク実行自動化
  5. Staquー捜査支援システム
  6. AskSid.aiーデジタルマーケティング
  7. Embibeーパーソナライズ学習支援
  8. Charmboardー広告ソリューション
  9. Haptikーオンラインショッピングサポート
  10. Rubiqueー融資マッチング支援

Fractal(ユニコーン)

同社は2000年にムンバイで設立された、企業の意思決定を支援するAIソリューションを提供する企業です。PE(プライベートエクイティ)ファンド大手のTPGから3.6億ドルを調達し、ユニコーン企業(非上場だが企業評価額が10億ドルを超える企業)となりました。CEO等の経営陣がより良い戦術的・戦略的決定を下すことを支援するCrux Intelligence、投資決定を改善するTheremin.ai、経営の問題を発見するEugenie.AI、次世代の企業収益成長管理を推進するSamya.aiなどのサービスを提供しています。米国、英国、ウクライナ、インド、シンガポール、オーストラリアなど、世界16拠点で3,000人以上の従業員を擁しています。また、Forrester Research社のCustomer Analytics Service Providers Wave™ 2021、Computer Vision Consultancies Wave™ 2020、Specialized Insights Service Providers Wave™ 2020においてリーダーとして取り上げられ、Gartner社の2021 Magic Quadrant™ for data & analyticsにおいて「Honorable Vendor」に認定されています。

Niki.ai(未上場)

同社は2015年にバンガロールで、名門インド工科大学カラグプール校の卒業生により設立されたインド発のAIチャットボット「Niki」を開発する企業です。同サービスを使うことによりバスやタクシー、ホテルなどを簡単にオンラインで予約することができます。ローンチからわずか3年で200万人ものユーザーを獲得しました。高いリピート率と顧客維持率が同社の強みです。会話中に文脈を保持し、切り替えることができるダイアログマネージャーという技術がこれを支えています。これは完全な文章でなくても読み取ることができる技術です。現在は英語のみに対応していますが、多言語にも対応可能となれば、世界中でヒットする可能性を秘めたサービスです。

Qure.ai(未上場)

同社は2016年にムンバイで創業されたインド発のAI医療技術スタートアップです。X線やMRI、CTスキャンから得られる医療画像データを解析し、異常を検知するAIを開発しています。インドでは放射線科医が非常に不足している上に、検査の費用が高額なため医師による診断を受けることができない人が大勢います。同社の技術を活用すれば、低コストで医者のいないような僻地でも数秒で診断を行うことが可能です。100万枚以上の胸部X線写真を用いて、画像を読み取り、結核を含む一般的な15の胸部X線異常を90%以上の精度で特定できます。AIベースの胸部X線ソリューションとして世界で初めてCEマーク(EUの設定する安全基準)を取得するなど、その精度は国際基準を満たす高いものとなっています。

Arya.ai(未上場)

同社はムンバイで創業された、タスク実行を自動化するAIシステムを開発する企業です。さまざまな分野で作業を支援するロボットの構築に使用することができます。マイクロソフトの主催する「シリコンバレー・フォーラム」にて次世代技術を持つスタートアップトップ4に選ばれました。他にもフランスのパリ市経済開発公社「Paris&Co」が選ぶイノベーション企業21選にインド企業として初めて選出されました。

Staqu(未上場)

2015年に創業されグルグラムに拠点を置く、行方不明者の発見や指名手配犯の捜査に活用できる警察向けの画像認識システムを開発する企業です。インドでは児童誘拐が社会問題となっており、同社は行方不明者の行動パターンや誘拐犯に関するデータをAIに分析させ、監視カメラのリアルタイムの映像と合わせて事件解決を行います。これまでに1,000件以上の事件を解決しました。この技術に警官に搭載したスマートグラスからの映像や音声認識ソリューションを組み合わせてさらなる凶悪犯罪の検挙および予防を図っています。この功績を評してドバイの警察も同社のシステムの導入を決定しました。インドでは警官不足や監視カメラ不足がかえって同社の成長を助けるリバースイノベーションが起こっていると言われており、さらなる成長が期待されます。

AskSid.ai(未上場)

同社はバンガロールに拠点を置き、ネット通販企業を支援する事業を展開し、集客やマーケティングにおけるソリューションを提供しています。オンラインショッピングが普及した今日において商品が溢れ、どれを買えばいいのわからないというユーザーが増えています。そのような人々を支援するのが同社のAIチャットボットです。これはユーザーとのコミュニケーションを通じてユーザーが欲しいと思うものを予測し、提案します。AIの自然言語処理技術と予測技術を駆使することにより、オンラインショッピングでも店舗販売のような体験をユーザーに与えることができる点を強みとしています。また、チャットボットだけでなくボイスボットも展開しており、多様なユーザーに対応することができます。同社の製品は様々なウェブサイト、アプリに埋め込むことが可能で、多言語に対応しており、世界中に拡大するポテンシャルを秘めています。

Embibe(未上場)

2012年に創業された企業で、AIによる高度な分析技術を駆使して、生徒それぞれにあう学習方法を提案するソリューションを提供しています。生徒の学習能力を詳細に分析し、問題を解くスピードや正確さ等のくせを見抜き、各問題に対する自信まで数値化します。こうして得られた情報から生徒に最も適した学習計画を立てます。このシステムを活用することにより、自分で目標を立てられない、集中力が短い生徒の学力も向上させることに成功しています。同社のAIアルゴリズムはIBMのWatsonと同レベルのものが搭載されているといいます。現在60を超える教育機関に導入されています。

Charmboard(未上場)

同社は2014年にバンガロールに拠点を置くスタートアップで、AIを使ったウェブマーケティングを行う企業です。ユーザーが視聴中の動画内で気になる製品に触れると、動画内の製品の情報が表示され、そのままショッピングを行うことができるという広告ソリューションを提供しています。2017年のシリーズA資金調達ラウンドで500万ドルを調達し、さらなる成長が期待できる会社です。

Haptik(未上場)

同社は2013年にムンバイで米イリノイ大学卒業生により創業されたスタートアップで、オンラインショッピングをサポートする会話型AIを開発しており、ショッピングサイトにおいて購入からサポートまでをAIチャットボットが自動で行います。ユーザー数は1億人以上ともいわれ、AmazonやKFC、ディズニー、コカ・コーラ等の大企業からの採用実績があります。2020年にはインド政府とともに、新型コロナウイルスに対するヘルプラインを制作するなど官民問わず高い信頼を得ています。

Rubique(未上場)

同社は2014年にムンバイで設立され、融資を受けたい企業と融資したい金融機関・投資家等のマッチングを支援するオンラインサービスを提供しています。インドは急速な経済成長により資金調達を希望する中小企業が増えていますが、中小企業が望むような融資が下りないという問題があり、そのソリューションとして同社が注目されています。マッチングに際してAIを活用した独自のアルゴリズムを使用することにより、効率よく最適なマッチングを提供します。融資総額は4.07億ドルを超え、提供地域の拡大を図っています。また、日本のリクルートは2018年に同社に出資を行っています。