AI活用最前線から見る教育の未来とは

「AIによって教師は必要なくなるのでは?」という声が日に日に大きくなっているように感じる方も多いかもしれません。実際、学校教育とAIの相性は良いと考えられています。

例えば、生徒の出席確認や採点業務といった事務作業はAIが高速で処理することができ、これによって、教師は授業の質を高めたり、生徒一人ひとりに向き合う時間を増やしたりすることができます。

また、事務作業だけでなく、授業中の生徒の表情をモニタリングすることで生徒の集中力や理解度をAIによって判断することも可能となりつつあります。

では、近い将来AIが教育に関するすべての業務を行い、教師は完全に置き換えられえてしまうのでしょうか。今回は、教育におけるAIの活用事例を紹介しながら、教育の未来を考察する手助けをさせていただきたいと思います。

*AIについて詳しく知りたい方は、↓の参考記事をご参照ください。

AIが生徒一人ひとりの理解度を把握

「生徒の理解度の把握」をしたうえで適切な指導をすることは教師の最も重要な役割の一つだと考えられています。

そして、AIによるアダプティブラーニング技術の向上により、AIが「生徒の理解度把握」でも教師を凌駕する時代が来ています。

具体的には、生徒がミスした問題のデータを蓄積することで、「この生徒はここまではわかっているが、ここから先が理解できていない」といったことを高精度で把握できるのです。

さらに、最新技術ではAIが生徒一人ひとりの理解度・学習履歴・ミスの傾向などに合わせて、世界に一つだけの「その生徒専用カリキュラム」を作成することが可能となっています。

個々の生徒の理解度把握が困難であるという従来の一斉授業の欠点を解決する画期的な技術として、全国の学校や学習塾に採用されつつあり、実際に生徒の成績が格段に向上したという事例も多数あります。

このように、学習指導において部分的に人間の能力を超えるAIですが、人間の教師が不要になるというわけではありません。

集団行動や道徳など、いわゆる「勉強」以外にも学校が生徒に教えるべきことは多数あり、そうした教育を通して生徒の人間力を育成することは、やはり人間の教師にしかできません。

したがって、今後はAIと人間が手を組んで、生徒一人ひとりに対して適切な指導を多方面から行っていくべきだと考えられます。学校教育の質の更なる向上にAIが貢献していくことが期待されます。

AI音声認識による教育革新

AIによる音声認識技術の向上も、従来の教育を革新しつつあります。

*AIによる音声認識技術ついて詳しく知りたい方は、↓の参考記事をご参照ください。

例えば、学校教育ではなかなか効果的な授業が行えなかった英会話については、AIが生徒の英語の発音を認識し、正しい発音との差をわかりやすく教えることが可能となっています。

この技術がさらに進歩すれば、日本のリーディング偏重の英語教育をリスニングやライティング、スピーキングも含めた総合的な語学学習に変革することが現実味を帯びています。

英語に限らず、AIによる音声認識技術の発展によって「その言語を読解し、考え、そして発信できるようになる」という語学学習の本当の目的を達成することが可能となりつつあり、グローバル化された現代を生きる私たちの大きな力になってくれます。

また、音声認識技術の教育への応用は語学学習に留まりません。

例えば、授業中の教師の声をAIによって認識し自動でテキスト化することで授業の復習の効率化ができたり、授業に出てきた各単語の出現回数をAIが解析することで、重要な単語を抽出することが可能になってきています。

さらには、授業中に出現した単語と関連する単語や画像をAIが自動的に生徒に表示してくれる技術まで実用化されています。

学校や学習塾の授業は音声データで構成されているため、データ×AIの技術力が向上することで、今後更に授業が生徒にとってわかりやすく、面白いものになることが期待されています。

まとめ

ここまで教育分野で活用されているAIについて紹介してきましたが、どの分野においてもどの側面をとってみてもAIと人間の教師の協力が不可欠であることが見えてきたのではないでしょうか。

AIが得意なことはAIが、人間にしかできないことは人間の教師がすることで、教育の質が向上し、今まで以上に生徒一人ひとりに寄り添った指導が可能になることが期待されます。

また、デジタル化によって地域による教育格差の是正も期待されます。これからの日本を担っていく若い世代のために質の高い教育を行っていくことは国家レベルで必要不可欠な事業ですので、今後もAI×教育は目が離せない分野になることでしょう。