スウェーデンのKarolinska研究所の研究者らは、前立腺がんの診断を行うことのできるAIの国際的検証を完了しました。この研究は、AIシステムが病理医と同様に前立腺がんを識別し、評価できることを示しています。今後は、AIが前立腺がん治療の補佐的な役割を果たすことが期待されます。
今回行われた国際的検証はPANDAと呼ばれるコンペティションを通じて行われ、3カ月にわたって、1000人以上のAI専門家が前立腺がんを正確に評価するシステムの開発に挑みました。驚くべきことに、コンペティション開始からわずか10日で、前立腺がんの識別や腫瘍組織量の推定、重症度の評価などの項目において平均的な病理医と同等の技術を持つアルゴリズムが開発されました。
今日の前立腺がん診断における問題として、同じ組織サンプルであっても病理医によって結論が異なるということが挙げられます。研究者らは、AI技術の活用によって、どの病理医が評価を行うかにかかわらず、組織サンプル評価の一貫性を高め、より正確な治療法の選択につながる大きな可能性があると考えています。
一方、AIの課題としては、使用するデータの質によってAIの出力する結果が異なるという点が挙げられます。そのため、前立腺がんを診断するAIは今すぐ病理医に取って代わる存在になるわけではなく、あくまで病理医ががんの症例を見逃さないための補佐的な役割を果たすものになると考えられます。
世界的に病理医が不足し、しかも前立腺がんの診断において客観的かつ再現性のある方法で評価することが困難な現代において、AIの活用は急務と言えるのではないでしょうか。