目次:
- 導入
- Gemini2.5は2.0からどれだけ進化したのか?
- Gemini2.5の特徴
- 性能評価
- Gemini2.5で何ができるか?(活用事例)
- まとめ
1.導入
2024年末にリリースされたGemini 2.0から約3か月。Googleはさらなる進化を遂げた新モデル「Gemini 2.5pro」を2025年3月に発表しました。
また2025年4月17日、最新モデルの低コスト、軽量化モデルである「Gemini2.5Flash」を発表しました。
これらのモデルは、単なる大型言語モデル(LLM)としてではなく、「思考するAI(thinking model)」という新たなカテゴリを切り開こうとしています。
本記事では、前バージョンからの進化、主な特徴、実際の性能評価、活用事例を交えながら、Gemini 2.5の全貌を紹介します。
2.Gemini 2.5は2.0からどれだけ進化したのか?
Gemini 2.0は、マルチモーダル対応や高精度な生成機能を強みとした初期モデルでしたが、2.5では以下の点で大幅に進化しています:
比較項目 | Gemini 2.0 | Gemini 2.5 |
推論能力 | 基本的な推論 | 高度なステップ思考(Thinking model) |
マルチモーダル対応 | テキスト、画像、音声 | テキスト、画像、音声、動画、コード |
コンテキストウィンドウ | 最大100万トークン | 最大200万トークン |
コーディング能力 | 基本的なコード生成 | 実用レベルのWebアプリ生成や編集対応 |
推論制御 | 非対応 | Flashで「思考予算」を設定可能 |
2.5では、「単に答える」だけでなく「考える→答える」プロセスを内蔵。特に2.5 Flashはその思考をオン・オフできるハイブリッド型AIとして注目されています。
3.Gemini 2.5の特徴
(1) Gemini 2.5proの主な特徴
高度な推論能力:複雑な数式処理や論理的な説明を段階的に実施。
広範なマルチモーダル理解:画像やコードも含む複数モードでの理解が可能。
最大200万トークンの文脈保持:膨大な資料や対話を通して一貫した応答が可能。
(2) Gemini 2.5 Flashの主な特徴
・思考予算(Thinking Budget):開発者が処理の深さをコントロールできる。
・高速・軽量:低レイテンシでコスト効率も良好、リアルタイムアプリに最適。
・柔軟なタスク適応性:必要に応じて推論能力をON/OFF可能なハイブリッド設計。
コスト効率が良いため料金体制も他の先端モデルに比べて良心的になっています。
Gemini2.5Flashは入力100万トークン0.15ドル、出力100万トークン0.6ドルになっています。
ただし推論をONにすると出力は100万トークン3.5ドルになります。
それでもOpenAIのo4-mini(4.4ドル)やClaude3.7 Sonnet(15ドル)などに比べると安いです。
これらの特徴は、生成AIの課題だった「コスト」「速度」「品質」のバランスを劇的に改善しています。
4.性能評価
以下は、代表的なベンチマーク「LMArena」や「MMLU」などにおけるGemini 2.5proと2.5 Flashの評価を示したものです。
Gemini 2.5は、最上位クラスのClaude 3 OpusやGPT-4 Turboと肩を並べる評価を獲得。
Gemini 2.5 Flashは、より軽量ながらも「Hard Prompts」部門で準トップのスコアを記録。
特に数学、コード生成、マルチモーダル推論の分野で高得点を叩き出しており、実務利用に十分な信頼性があります。
5.Gemini 2.5で何ができるか?(活用事例)
実際に、Gemini 2.5シリーズは以下のような場面で活躍しています。
・ ビジネスデータの可視化
表や統計データをインプットすると、グラフや図を自動生成して説明文付きで出力。会議資料の作成が格段に効率化されます。
・ Webアプリの自動生成
「じゃんけんゲームを作って」などのシンプルな指示だけで、動作可能なWebアプリ一式を生成。非エンジニアにも使いやすい。
・複雑な数学問題のステップ解説
教育支援AIとして、因数分解や行列計算などをステップバイステップで解説し、学習をサポート。
・長文ドキュメントの要約・分析
報告書や研究資料を一括で読み込み、要点を抽出・要約。研究者やビジネスマンの情報処理を支援。
6.まとめ
Gemini 2.5は、単なる生成AIの枠を超えた“思考するAI”として新しい可能性を提示しています。
Gemini 2.5proは、複雑な思考処理や高精度なマルチモーダル分析に適したハイエンドモデル。
Gemini 2.5 Flashは、現場で使いやすい速度と価格を兼ね備えた軽量モデル。
ベンチマークでの高評価に裏打ちされた性能と、実際の活用事例の豊富さから、今後さらに多くの現場で導入が進むと予想されます。
参考文献: