2024年10月31日、OpenAIはChatGPTに新たな機能「ChatGPT Search」を発表しました。同社が7月25日に発表したSearch GPTがChatGPTに統合され、利用できるようになりました。これにより、ChatGPT上で正確かつ高速なAI検索が可能となりました。以下では、他社のAI検索との比較や使い方、機能について詳しく説明していきます。
Search GPTについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。以下では、GoogleとAI検索の使い分け方について詳細に書いてあります。
目次
- 進化したAI検索:ChatGPT Searchの特徴
- AI検索の課題:ChatGPT Searchが抱える課題
- ChatGPT Searchの利用プランとマルチモーダル性
- ChatGPT Searchの拡張機能
- ChatGPT Searchの具体的な活用事例
- Google vs ChatGPT Search
- 競合との比較:Perplexity AI、Felo AI、Genspark
- 利用シーン別に選ぶAI検索エンジンの選び方
- まとめ
進化したAI検索:ChatGPT Searchの特徴
- リアルタイム検索機能
以前のChatGPTは2023年10月までの情報を基に回答していましたが、新たなリアルタイム検索機能により、「今日の天気は?」といった質問に対してもインターネット上で最新情報を調べて要約して回答できるようになりました。この機能により、ニュースや天気など時事問題への迅速な対応が可能となり、ユーザーの利便性が大幅に向上しています。
- 引用リンクの提示
ChatGPT Searchは、情報の透明性と信頼性を高めるために引用元を表示する機能を備えています。これにより、最新ニュースなどを調べた際に参照元を簡単に確認でき、情報の出典が明確になります。また、情報源のリンクをクリックすることで詳細を確認できるため、信頼性の高い情報収集が可能です。
- 情報の透明性が向上
- 情報源を簡単に確認・アクセス可能
- 自然言語での回答
従来のGoogle検索は「キーワード検索」に依存していましたが、ChatGPT Searchでは「自然言語検索」が可能です。これにより、ユーザーは質問をそのまま自然な言葉で入力するだけで、複数のサイトを瞬時に参照し、要約された情報を得ることができます。
- キーワードを工夫する必要がなく、自然な言葉で質問可能
- フォローアップの質問にも対応し、「もっと詳しく教えて」といった要望にもスムーズに回答可能
AI検索の課題:ChatGPT Searchが抱える制約と対策
現在のAI検索には、著作権と正確性に関する課題がありました。AIが無断で新聞などのジャーナル記事を引用したり、逆にアマチュアの記事を使用して正確性に不安のある検索結果を出力したりする点が懸念されていました。しかし、ChatGPT Searchではこれらの課題が克服されています。
OpenAI社は世界的な出版社と提携し、正確で信頼性の高いデータベース情報を基に回答を提供しています。例えば、フィナンシャル・タイムズやアメリカのアソシエイテッド・プレスをはじめとする多くの企業と連携し、安全なAI検索を提供しています。以下は提携先の一例です。
「Associated Press、Axel Springer、Condé Nast、Dotdash Meredith、Financial Times、GEDI、Hearst、Le Monde、News Corp、Prisa (El País)、Reuters、The Atlantic、Time、Vox Media など」
ChatGPT Searchの利用プランと今後の展望
現在、ChatGPT SearchはChatGPT PlusやTeamsといった有料会員にのみ公開されています。今後、無料ユーザーにも公開される予定です。また、現時点ではChatGPTのCanvasモードや一部の他のモードでは利用できず、GPT-4oおよびGPT-4o miniでの使用に限られています。これらの制約は、今後順次緩和され、幅広いユーザーに公開されていく見込みです。また、写真やpdfなどのマルチモーダル対応なども課題です。
Google検索に代わる選択肢:ChatGPT Searchの拡張機能
本日から、Google検索の代わりにChatGPT Searchが利用可能になります。Googleの拡張機能を用いることで、Google検索の代わりにChatGPT Searchをデフォルトの検索エンジンとして設定できます。使用方法については、以下のリンクからChromeに拡張機能を追加してください。
この拡張機能を追加することで、ChatGPTがChromeのデフォルト検索エンジンとなり、ブラウザのURLバーから直接検索が可能になります。
https://chromewebstore.google.com/detail/chatgpt-search/ejcfepkfckglbgocfkanmcdngdijcgld
ChatGPT Searchの具体的な活用事例
ChatGPT SearchはAI検索機能です。いくつかの活用事例を紹介します。
以下のように、Web検索機能のボタンをクリックすると使用できます。以下は一例ですが、幅広い使い方が期待できます。
- 天気情報: 「今日の天気は?」と入力すると、最新の天気情報を図や画像とともに提供します。
- スポーツ結果: 「大谷翔平の最新試合結果は?」と入力すると、試合結果やハイライト情報を簡潔に表示します。
- 旅行プラン作成: 「京都旅行のプランを考えて」と入力すると、観光名所やおすすめスポットを含むプランを画像付きで提案します。
- レシピ検索: 「今晩の夕食におすすめのレシピは?」と入力すると、料理の手順や材料リストを含むレシピを画像付きで表示します。ユーザーが簡単に料理を試せるよう、関連する料理動画へのリンクも提供します。
- 最新ニュース: 「今日の主要なニュースは?」と質問すると、主要なニュースを要約し、出典元とともに表示します。重要なニュースにアクセスしやすく、信頼性の高い情報を提供します。
- 学習ガイド作成: 「英語の学習方法を教えて」と入力すると、具体的な学習スケジュールやおすすめの教材を提案します。語学学習者に役立つ学習計画や進捗管理のアドバイスも含みます。
- イベント情報: 「東京で今週末のイベント情報を教えて」と入力すると、地域ごとのイベントリストを提供し、開催場所や時間を含む詳細情報を表示します。
- 健康アドバイス: 「風邪を早く治す方法は?」と尋ねると、医療専門家からのアドバイスや信頼できる情報源からの推奨対策を要約して提示します。
AI検索の選び方:Google vs ChatGPT Search
Google検索とAI検索の違いについて説明していきます。
1.Googleによるキーワード検索
Googleはキーワード検索を採用しています。インターネット全体に存在する膨大な情報を収集し、キーワードを基に検索結果を表示します。AI検索のようなChatBOT形式とは異なり、情報を要約して提供しないため、ユーザーは自分で複数のリンクをクリックして情報を収集する必要があります。そのため、手間と時間がかかることがあります。
また、Googleは自社サービス(Google MapやGmailなど)と連携し、統合された検索体験を提供していますが、広告主体の検索エンジンでもあるため、ユーザーが求める情報が見つかりにくい場合があります。たとえば、「おすすめのごはん屋さんを教えて」と検索すると、レビューが高い店舗ではなく、広告が上位に表示されることがあります。
さらに、キーワード検索にかかる労力もデメリットの一つです。複雑な質問に対しては、ChatBOTのようにわかりやすい解説を得ることができず、ユーザーが自分で情報を整理して理解しなければならない点も懸念されています。
2.AI検索の魅力
AI検索は、ChatGPT Searchをはじめ、多くの企業が提供しているシステムです。GoogleなどのデータベースからLLM(大規模言語モデル)が情報を収集し、要約して出力します。これにより、広告に依存せず、ユーザーのニーズによりフィットするよう設計されています。キーワード検索よりもユーザーエクスペリエンスが高く、文章による検索も可能です。これにより、複雑な質問にも簡単に回答を得ることができます。また、ChatBOT形式で質問を深掘りしていける点も魅力です。
以下に、ChatGPT Searchの競合を紹介します。筆者自身のおすすめはPerplexity AI、Genspark、Felo AIです。
Perplexity AI
Perplexity AIは2022年12月に公開された、自然言語処理(NLP)と機械学習に基づく対話型検索エンジンです。この革新的なエンジンは、ユーザーが任意に選択できるAI(GPT-4oやClaudeなど)を活用して、ウェブ上から必要な情報を収集し、人間のように自然な言語で回答します。
このAIの魅力は、使用するAIモデルを選択できる点です。ユーザーはGPT-4oやClaudeなど、自分好みのLLMを選んで活用できます。
特徴
- Pro検索という有料検索オプションがあり、無料ユーザーは1日5回まで使用可能です。有料会員(月額$20)になると、1日300回までPro検索が可能。
- GPT-4 OmniやClaude 3などの高度なAIモデルの選択が可能。
- PDF、CSV、画像ファイルの分析機能。
- AI画像生成機能。
これらの機能を通じて、Perplexity AIは幅広い用途に対応しています。
Felo AI
Felo AIは、日本のスタートアップであるSparticle Inc.によって開発されました。
Felo Search Pro
有料版では、GPT-4o、OpenAI O1、Claude 3.5、Llama 3.1などの高度なAIモデルへのアクセスが可能です。多言語検索機能を備えており、ユーザーは母語に関係なく情報を取得できます。また、FeloはX(旧Twitter)やTikTokなどのSNS情報に特化した検索もサポートしており、リアルタイムの情報収集に最適です。さらに、検索結果をプレゼンテーション形式やマインドマップ形式で表示する機能も備え、利用者に多彩な選択肢を提供しています。月額料金は2,099円です。
深度検索機能
10月22日に発表された深度検索機能では、数十件以上のリソースを対象にした広範で深い情報収集が可能です。このモードを有効にすると、Proサーチはディープ推論を用いて質問に対する詳細な回答を提供します。この機能は手動でオンにする必要があります。
特徴
- 日本語特化の検索機能。
- マインドマップやスライド生成機能を搭載。
- SNS情報に特化したリアルタイム検索が可能。
日本に特化した調査やスライド資料の作成を目的とする場合、Felo AIは優れた選択肢となります。
Genspark
Gensparkは、MicrosoftやGoogleの元社員たちによって立ち上げられたAI検索エンジンです。この検索エンジンの革新性は、完全無料で利用できる点にあります。PerplexityやFelo AIは有料のProプランを提供していますが、Gensparkは無料で安全に使用できます。また、他のAI検索エンジンと異なり、Sparkpagesという独自の機能を備えています。通常、AI検索では検索結果を要約して提示しますが、Gensparkはその要約結果をもとに、SparkpagesというAI生成記事を作成します。これにより、他社サービスと比較して正確性や情報量が豊富である点が魅力です。ただし、生成速度は他のサービスに比べてやや劣ることがあります。
さらに、Gensparkには「Genspark Autopilot Agent」というファクトチェック機能があり、例えば「エッセンシャルオイルはうつ病に効果があるか」と入力すると、データを検索して情報が正しいかどうかを精査します。また、「Genspark Travel」や「Genspark Product」といった、旅行プランの作成や商品検索に役立つ機能も提供しています。
特徴
- Genspark Autopilot Agentによるファクトチェック機能
- Genspark Productによる商品検索機能
- Genspark Travelによる旅行プラン提案機能
- 完全無料で利用可能
利用シーン別に選ぶ最適なAI検索エンジン
Felo AIとPerplexity AIはどちらもPro検索があります。個人的には、Felo AIの方が高速で正確性が高いと感じます。しかし、Pro検索においては、Perplexityは表の生成などが充実しているため、検索をメインに利用する有料ユーザーにはPerplexityが適しているでしょう。
Feloは高速であるため、無料の検索システムとしても適しています。さらに、資料作成機能があるので、検索結果を可視化して見やすくしたい、または資料を作成したい人にはFeloが最適です。
Gensparkは完全無料である点が魅力ですが、生成速度が遅いです。しかし、正確性は高いので、ファクトチェック機能や正確性を重視する人におすすめです。
ChatGPT SearchはPlusユーザー向けの付属機能です。ChatGPT自体が非常に優れたAIであるため、文章生成など幅広く活用したい人にはおすすめです。
まとめ
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ChatGPT Search機能によるAI検索の登場
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引用元が表示される機能
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現在は有料ユーザーのみが利用可能
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今後のマルチモーダル対応が課題
ChatGPT Searchによって、ChatGPTにAI検索機能が追加され、さらに便利になりました。最近では、Claude 3.5 SonnetのComputer useなどが発表されるなど、生成AI業界の発展が注目されています。今後も記事を随時アップしていくので、ぜひチェックしてください。