Grab

企業・サービス概要

東南アジア最大の配車サービス企業。マレーシア・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナム・インドネシア・ミャンマー・カンボジアで自家用車向けGrabCar、オートバイ向けGrabBike、相乗りサービスGrabHitch、配送サービスGrabExpressおよび決済サービスGrabPayを提供している。2018年2月時点のドライバーの総数は、8カ国168都市で230万人、企業評価額は60億ドルにのぼる。

2018年3月、米Uberは東南アジア事業をGrabに売却し、Grabが東南アジア最大の配車サービスとなっている。2019年4月現在、東南アジアの8ヵ国・336都市で展開している。オープンな「GrabPlatform」を基盤として、オンデマンド・ビデオサービス、デジタルヘルスケア、保険サービス、オンライン予約サービスなども始める。それぞれ、ストリーミングプラットフォームを手がけるシンガポールのHOOQ、総合健康プラットフォームを提供する中国・平安好医生、保険のIT化に取り組む中国・衆安国際、「ブッキングドットコム」のブッキング・ホールディングスと連携する。

特徴

Uberは運転技術を基盤とした無人運転やフードデリバリー「Uber Eats」といった業務を展開しており、滴滴出行(DiDi)は登録ドライバー向けに自動車リース、メンテナンス、さらには売却といった一連の関連業務を一手に引き受ける「小桔車服」などのサービスを実施している。

これに対し、Grabが手掛ける事業は資金調達ペースの加速と相まって複雑さを増している。主業務は金融サービスやオープンプラットフォームで、前者には滴滴出行(DiDi)やUberにはない独自性がある。決済業務「Grab Pay」は、現時点で8カ国にて利用可能だ。またオープンプラットフォーム上でも映画館のチケット予約、地図、ホテル予約、シェアバイクなどのサービスを開始している。

SVFの投資

2019年3月6日、Grabはソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下SVF)から14.6億ドル(約1634億円)の資金調達を行った。同社は調達した資金で、アクセスや利便性の向上を目指してサービスを拡充。東南アジアにおいて掲げた「スーパーアプリ」のビジョンを推進している。具体的には、金融サービスやフードデリバリー、配送サービス、コンテンツ、デジタルペイメントなどの事業領域の拡充を続けている。

今回調達した資金については主に、Grabが2輪車市場の60%、4輪車市場の70%の市場シェアを占めるインドネシアに投下する予定だ。さらに同年、ソフトバンクから20億ドル(約2200億円)を追加調達した。今回の資金は、次世代交通ネットワークの建設、医療などの基幹サービスに関する変更、インドネシアのジャカルタで予定している第二本社の建設に充てられる。資金調達により、Grabの企業価値は140億ドル(約1兆5000億円)を突破するとみられる。

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