企業・サービス概要
2015年に設立されたAIを活用した新薬開発サービスを提供するバイオテック企業。ジタル化とスマート化を特色とするAIベースの新薬開発サービス企業で、最先端の計算物理学、量子化学、AI、クラウドコンピューティングに基づいた新薬開発サービスを世界の企業に提供している。
チームのコアメンバーはマサチューセッツ工科大学や北京大学、中国科学院などの出身者で、本社のある深圳のほか北京、上海、ボストンにも支社を置いている。米国、欧州、中国、日本などの創薬分野のパイオニア企業70社余りに新薬開発サービスを提供してきた。
同社のビジネスには固体医薬品開発サービス、医薬品設計サービス、AIサービスなどの技術サービスのほか、ビジュアル力場計算ソフト「XtalForce」、結晶構造解析ツール「XtalVision」、AIモデルによる最適化合物選択ツール「Renova」などのプラットフォーム提供が含まれる。
特徴
ID4(Intelligent Digital Drug Discovery and Development)新薬開発プラットフォームとは量子物理学やAIとクラウドコンピューティング技術を組み合わせ、分子薬物の重要な特性を正確に予測し、新薬の前臨床研究の効率や成功率の向上を目指すものであり、現在、世界の多くの製薬会社がこの技術を採用している。同社もこのプラットフォームの研究・開発に力を入れてきた。同社のアルゴリズムは物理理論とAI理論をベースにしたもので、古典力学から量子力学までを幅広く網羅したアルゴリズムを100種類以上蓄積してきた。
今後は最新の実験施設と新薬開発プラットフォームを緊密に結び合わせたデジタルツインの研究開発システムを作り上げ、実験施設における模索とシミュレーションアルゴリズムを連動させた効率の良い開発の実現を目指している。データ保存にはデータレイク方式を採用して、ペタバイト規模にも迫るデータを蓄積している。
またマルチクラウドアーキテクチャをベースに、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、テンセントクラウド、Googleクラウドなど複数のパブリッククラウド上に大量の計算リソースのスケジューリング可能な演算プラットフォームを構築、大規模な薬物分子発現・スクリーニングプロジェクトを同時に実施できるようにして、AIを活用した新薬開発技術を大規模に実用化している。
AIに関する特徴
・AIモデルの開発として次の分野でAIを活用
相関分析、実験データ分析、クラウドとローカル展開、プロセスの最適化、AIシステムの設計とデータ統合
・独自の分散コンピューティングシステムを設計および開発。このシステムは、機械学習タスクの特性を十分に考慮し、モデルの大規模な分散トレーニングと自動最適化をサポートし、かつモデルの再現性を保証しながらモデルのゼロ遅延展開をサポートし、すべての計算タスクの効率的な使用を保証する。
資金調達
2018年、シリーズBラウンドの資金調達で1500万ドル(約16億3000万円)を獲得した。シリーズBは中国Sequoia社が主導し、TencentやGoogleも参加した。
2019年、SoftBank Vision Fund(以下SVF)が主導するシリーズCラウンドにおいて3億1900万ドル(約336億円)を調達した。SVFの他、人保資本(PICC Capital Investment management)、晨興資本(Morningside Venture Capital)が共同でリード・インベスターを務め、「中金資本(CICC Capital)」「招銀国際(CMB International)」「未来アセット」など多数の投資機関がコ・インベスターとなったほか、テンセント、セコイア・キャピタル・チャイナ、「国寿股権投資(China Life Private Equity Investment)」「SIG Asia」など初期の出資者も追加投資を行った。
SVFの投資
上述のようにSVFはXtalPiに多額の資金を投じた。今回、SVFなどから調達した資金はインテリジェント新薬開発システムのさらなる拡大に充てられるといい、演算能力、アルゴリズム、データの3つの角度からAIベース新薬開発インフラを構築し、全世界の製薬会社やバイオテック企業が新薬の開発効率を高められるようサービスを提供していくとのこと。