企業・サービス概要
Insitroは、2018年に設立されたサンフランシスコに拠点を置くバイオテック企業です。新薬を開発するために、Insitroは人間の細胞を使い、他の細胞に分化する能力を持つ多能性幹細胞を作ります。研究者達は、次に遺伝的疾患のモデルを作り、機械学習を用いて健康な細胞とそうでない細胞の違いを分析しています。
また同社は、2019年ギリアド・サイエンシズと肝疾患の治療法を共同開発する契約を締結しました。この提携でInsitroはギリアドの臨床試験データを使って機械学習プラットフォームを学習させることができるといい、それと同時に神経科学にも重点的に取り組んでおり、動物モデルの代わりに人間の細胞を使うことで、神経疾患の治療薬開発に役立てたいと考えています。
Insitroが他社と大きく異なるのは、他のスタートアップが大手製薬会社との提携を目指しているのに対し、同社は新薬の発見から開発、承認取得までを自社で行おうとしていることだ。創業者のコラー氏によると、大手との提携も検討するが、一部の治療薬は自社で全てを手掛けるつもりだといいます。
AI分野におけるポイント
コラー氏は、データサイエンスとライフサイエンスを調和させることを目指し、同社を設立しました。Insitroが他社と異なるのは、機械学習プラットフォームの学習に必要なデータを大量に生み出している点です。コラー氏によると、他社の多くは既存データを学習に用いているが、中には乱雑なものも含まれ、分析精度の低下につながっているといいます。「私の経験では、機械学習の精度は学習させるデータの質に比例する」と彼女は語っています。
そして同社は、短期間で優れた実績を上げ、フォーブスがAI分野で優れた実績をあげた企業50社を選出する「AI 50」リストに選出されました。同氏によると、データ量が莫大なため、微小な違いはこれまで見過ごされがちだったといい、「まさに機械学習が能力を発揮する領域です。病気の状態から健康な状態に戻す仕組みを見つけることが私たちのゴールです」と彼女は語りました。