営業は個人の経験や感覚に頼った属人的なものと考えている方が多いのではないのでしょうか。しかし、営業用AIの登場によりその常識が覆りつつあります。膨大な顧客データからAIが成約確度を予測したり、営業スキルをAIに定性評価させることにより誰でも効率的な営業活動が可能となります。そこで今回はAIが作る新たな「営業」を解説したいと思います。
営業支援
顧客とのやりとりを管理・評価
横浜銀行は行員と顧客のやり取りを記録した営業応接記録をAIがチェックするシステムを導入しました。営業応接記録をAIがチェックし、スコア付けすることにより、上司のチェック負担が軽減され、またチェック品質のばらつきを抑制することにもつながります。
顧客情報をリアルタイム管理
星野リゾートはこれまで顧客接点情報をExcelで管理しており、入力には多くの手間がかかり、2週間に1度しか更新されていませんでした。そこでAI機能を持つクラウド型の顧客管理・営業支援システムを導入したことにより、リアルタイムでの状況の可視化で、来館への情報共有や把握のスピードが早くなるために、客の状態やニーズが速やかに判断できるようになり、キャンセル率を50%減少させることに成功しました。
見込み客の受注確度を予測
Salesforce社の「Sales Cloud Einstein」はAIが顧客とのメールとリードリスト(見込み客リスト)などを解析し、個々の顧客の商談化および商談化後の成約率の予測を行います。米U.S.Bank社では、法人営業においてCRVが2.35倍になり、ANAグループの関連会社においては同製品の予測と実際のCRVが近いという検証結果が出ています。
営業マンの知識不足をカバー
不動産事業を展開する株式会社ヒノキヤグループでは、不動産営業には建築、法制度、税制など幅広い知識が必要とされ営業担当者の知識が追いつかないというケースが発生していました。そこで営業活動に関する質問を行うことができるチャットボットを開発・導入し、営業マンの疑問を解消することに成功しました。
スマホで営業力を強化
日本生命では「ロープレAI」という営業担当者が営業トークをスマホで撮影するとAIが解析し、アドバイスを行うシステムを導入しました。
営業スキルのナレッジ化
受注確率や営業リスクを予測
営業スキルは属人性が高く、社内にそのスキルを蓄積することが難しいと考える企業が多いです。株式会社マツリカの提供する「Senses」は取引先とのやりとりや顧客情報など営業情報を一元管理し、ナレッジ化するとともに、蓄積されたデータをもとにAIが提案を行います。
営業電話を分析
株式会社RevCommが開発するクラウドIP電話「MiiTel」は音声解析AIを搭載しており、営業電話の内容をAIがリアルタイムで解析してくれます。解析されたデータをもとに営業力の向上を図ることができます。
新規顧客開拓・マーケティング
LTVを予測
新規優良顧客の獲得にあたってはLTV(顧客生涯価値)を正確に予測する必要があります。従来の手法ではLTVの計測は困難とされていましたが、トランスコスモス株式会社が開発・提供している「KAGARI」は過去の顧客のデータを基にAIがLTVを正確に計測し、新規優良顧客の抽出を可能にしました。
ノーコードでチャットボット作成
株式会社チャットブックの提供する「ChatBook」はノーコードで顧客獲得用のAIチャットボットを作成することができます。さまざまなCRMと連携が可能なのでチャットボットからスムーズに営業担当につなぐことができます。既に多くの企業で導入されており、CPA(顧客獲得単価)を1/6にしたケースやCVR(コンバージョンレート)が22%上昇した事例があります。