AIを活用したDX化事例まとめ(商品開発部編)

消費者のニーズが多様化する一方で、グローバル化により新たな商品が次々に生まれる現代では、商品開発の効率化が欠かせません。このような状況で活躍するのがAIなのです。AIは単純作業しかできないと考えている方が多いかもしれませんが、実はAIを商品開発に導入することにより、効率的に新たなアイデアを生み出すことができるのです。そこで今回はAIがどのように商品開発の現場で活用されているのかご紹介したいと思います。

キリン

ビール造りに欠かせない醸造計画業務は複雑で伝承が難しいと言われています。ゆえに熟練の技術者の「経験と勘」に頼っていました。そこで熟練の技術者らへのヒアリングを行い、属人的な業務をAIが自動で行えるようにしました。具体的には担当者の指示と製造計画などのデータを入力すると、AIが必要な仕込み量やスケジュールなどを試算します。これにより年4000時間もの労働時間を削減し、醸造技術の属人化を防ぐことができるといいます。

セガ

ゲーム開発においてバグ修正やゲームバランス調整などの検証作業には莫大な時間とコストを要します。そこでセガはブレインパッドと共に自動でこれらの検証作業を行うAIを開発しました。このAIは強化学習を採用することにより、ゲームのステージが異なったりしてもそのまま検証することができ、大幅な時間短縮に成功しました。

コカ・コーラ

コカ・コーラが発売した「CHILL OUT」は「チルする?」(ゆったりくつろぐという意味)をキャッチフレーズとする清涼飲料水です。このチルアウトの味を決めたのがコカ・コーラの出資するエディアン社のAIです。このAIは被験者に質問を行いながら、さまざまなフレーバーを試すことにより消費者が好む味を学習しました。

ロレアル

フランスの化粧品メーカーのロレアルはSNSやコスメ記事などネット上に投稿された画像・動画・文章をAIが分析する「TrendSpotter」を開発しました。コスメ業界は流行り廃りが早い一方で、商品開発から発売まで1年近くを要するため、一早くトレンドをキャッチすることが大切になります。このAIシステムは1日に700~800個ものトレンドを発見することができるため、ライバル社より2~3か月早く商品開発に取り組むことができているといいます。

マックミラ

スウェーデンの蒸留所マックミラはマイクロソフトなどと共同してAIを活用したウイスキーの開発を行っています。ブレンドウイスキーは複数のウイスキーを混ぜあわせることにより作られるのですが、マックミラはAIにブレンド方法や販売・顧客データを学習させることにより7,000万通りの新たなブレンドレシピを生み出すことに成功しました。その中の一つは2019年に「インテリジェンス」として発売されました。

サッポロビール

サッポロビールはIBMと共同でAIを使ってRTD(蓋を開けてすぐにそのまま飲めるアルコール飲料)商品の開発を行っています。2社は、過去のレシピとそれへの人間の評価、使われた原材料の特徴をAIに学習させました。その結果このAIは人間が作ったレシピと同等の評価のレシピを作ることに成功しました。また、レシピの検討時間を50%削減することができたといいます。

消費者のニーズが多様化する一方で、グローバル化により新たな商品が次々に生まれる現代では、商品開発の効率化が欠かせません。このような状況で活躍するのがAIなのです。AIは単純作業しかできないと考えている方が多いかもしれませんが、実はAIを商品開発に導入することにより、効率的に新たなアイデアを生み出すことができるのです。そこで今回はAIがどのように商品開発の現場で活用されているのかご紹介したいと思います。